日本大学危機管理学部教授 鈴木秀洋/協力 工藤奈美
【目次】(青字が今回掲載分) 第1回 剣太からのバトン─時間は当事者の気持ちを軽くしない 第2回 剣太事件概観─剣太誕生・事件当日・部活・被害者として 第3回 学校・行政対応のまずさ(1) ─危機管理学・行政法学・被害者学の視点から 第4回 学校・行政対応のまずさ(2) ─事故調査委員会・教員の処分 【緊急特報】裁判記録は魂の記録である 第5回 損害賠償請求事件(大分地裁) ─最初の闘い・地裁判決の法的位置付け 第6回 第1回口頭弁論に臨む遺族の気持ち(大分地裁) 第7回 口頭弁論と立証活動(大分地裁) 第8回(予定) 現地進行協議と証人尋問(大分地裁) 第9回(予定) 損害賠償請求上訴事件 第10回(予定) 刑事告訴・検察審査会 第11回(予定) 裁判を終えて 第12回(予定) 新たなステージ(剣太はみんなの心の中に) |
これまで、大分地方裁判所第一審判決の論点及び判決について、検討を行ってきた。剣太裁判では、おおむね英士さん・奈美さんらの主張・立証に基づく事実認定がなされたことは、原告側の主張と被告側の主張を整理した前回までの連載で明らかとしたが、では、英士さん・奈美さんらは、どのような証拠を積み上げていったのか。今回は、立証にフォーカスしてみたい。
1 口頭弁論期日の積み重ね
まず、口頭弁論がどれだけ積み重ねられているか。
原告側が、平成22(2010)年3月2日に訴状を提出してから、平成25(2013)年3月21日の判決前の最終口頭弁論期日(平成24(2012)年12月20日)まで、17回もの口頭弁論期日が積み重ねられている(それに加えて竹田高校剣道場で一度、現地進行協議も行われている)。
具体的には、平成22(2010)年中は、①4月22日に第1回口頭弁論期日、②7月1日に第2回口頭弁論期日、③9月2日に第3回口頭弁論期日、④11月4日に第4回口頭弁論期日、⑤12月16日に第5回口頭弁論期日が開かれた。
翌年平成23(2011)年には、⑥2月17日に第6回口頭弁論期日、⑦5月19日に第7回口頭弁論期日、⑧8月25日に第8回口頭弁論期日、⑨10月27日に第9回口頭弁論期日、⑩12月8日に第10回口頭弁論期日と続く。
さらに、平成24(2012)年には、⑪2月23日に第11回口頭弁論期日、⑫3月28日には、進行協議期日(13時~14時)として、竹田高校剣道場にて、受命裁判官立ち会いの下、原告側、被告側双方の指示説明、⑬5月24日(午前・午後)に第12回口頭弁論期日(証人尋問:風音、英士)、⑭6月14日(午前)に第13回口頭弁論期日(証人尋問:顧問教諭)、⑮7月5日(午前)に第14回口頭弁論期日(証人尋問:顧問教諭反対尋問)、⑯7月26日(午後)に第15回口頭弁論期日(証人尋問:副顧問教諭)、⑰9月27日(午後)に第16回口頭弁論期日(証人尋問:豊後大野市(病院))、⑱12月20日に第17回最終口頭弁論期日(母意見陳述)が開かれた。
こうした経緯の後、翌年平成25(2013)年3月21日に判決言渡しとなっている。第一審判決が出るまでに、実に3年余りの年月の間、原告と被告との間で、主張・立証が行われたことになる。