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2023.04.25 議員活動

第7回 口頭弁論と立証活動(大分地裁)

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【甲9】「研修医・当直医のための急患対応マニュアル(抄)」
 [熱射病では冷水で全身を冷やす必要があり、直腸温で38度以下になるまで続けなければいけないこと、なかなか下がらない場合、胃チューブで冷水を胃に灌流(かんりゅう)させる方法があること、救急措置の後も多臓器不全を起こす危険があるので専門医に依頼すべきこと]
【甲10-1】「熱中症事故の防止について(依頼)(文部科学省スポーツ・青少年局学校健康教育課長、企画・体育課長から都道府県教育委員会あて(平成20年6月13日付))」
 [熱中症事故防止は文部科学省が都道府県教育委員会に対し、例年、指導対応している事実。学校の中では高校での熱中症事故が例年多く、しかも増加傾向にある事実。学校管理下の熱中症事故はほとんどが体育・スポーツ活動によるもので、それほど高くない気温でも湿度が高い場合に発生している事実。熱中症による事故は適切な措置を講じれば十分に防ぐことができる事実]
【甲10-2】「熱中症事故等の防止について(依頼)(文部科学省スポーツ・青少年局学校健康教育課長、企画・体育課長から都道府県教育委員会あて(平成21年6月26日付))」
 [甲10-1に加え、本件事故の前にも文部科学省が都道府県教育委員会に対し熱中症事故の防止を指導していた事実]
【甲11】「熱中症対策(部活生徒指導)(竹田高校)」
 [本件事故前の平成21(2009)年6月29日竹田高校教職員朝礼配付資料に、熱中症の具体的な症状が記載されている事実。40分ごとに給水と記載されている事実。熱疲労から回復した場合でも容態が急変することがあるので運動を中止させるべきことと記載されている事実。ふらつき、転倒、意識朦朧(もうろう)などの熱射病の場合、すぐに救急車を要請し、一刻も早く搬送しなければならないと記載されている事実。こうした資料が配付されていた事実]
【甲12-1】「救急出場記録表(竹田消防署)」
 [本件事故を消防署で覚知したのは12時20分であった事実。救急隊員は本件を「熱中症」、「重症」と把握していた事実]
【甲12-2】「救急出場記録表(竹田消防署、公立おがた総合病院)」
 [剣太が病院に搬入された際、医療機関は「熱中症」、「重症」と認識していた事実]
【甲13】「平成21年度大分県教育委員会12月臨時会会議録(大分県教育委員会)」
 [教育委員会は、本件被告顧問が、剣太に十分な休憩や水分補給をさせずに連続して約1時間30分にわたり練習を行わせ、午前11時55分頃、意識が朦朧となり倒れるまで練習を継続させ、結果、死亡させたこと、顧問として部員の生命・身体の安全を確保する義務があったにもかかわらず適切な予防措置を怠り、体調に異常が生じた後も練習を継続しようとし、救護措置が遅れたこと、生徒の腰の横を足で蹴り、頬を平手で複数回たたいたなどと認定した事実。被告副顧問が、副顧問として部員の生命・身体の安全を確保する義務があったこと、顧問に進言する義務があったにもかかわらず適切な予防措置を怠り、体調に異常が生じた後も練習を継続しようとし、救護措置が遅れたなどと認定した事実]
【甲14】「剣道部員○君インタビュー」※詳細略(以下、甲18まで)
【甲15】「剣道部員○君インタビュー」
【甲16】「剣道部員○君インタビュー」
【甲17】「剣道部員○さんインタビュー」
【甲18】「剣道部員○さんインタビュー」
【甲19】「鑑定書(鑑定人大分大学医学部教授岸田哲子)」
 [熱中症の病態のうち最も重篤な熱射病での死亡]※その他詳細略
【甲20】「剣道部員風音に対する事故調査委員会のヒアリング」
 [剣道場内での不法行為の経緯が訴状記載のとおりである事実(風音は事件当日、同じ道場内で本件を目撃)]
【甲21】「最新救急医学(最新医学社)」
 [熱射病の徴候に関して(詳細略)]
【甲22】「写真撮影報告書」(工藤奈美撮影)
 [竹田高校剣道部道場の内部と周辺の様子。周囲は崖と生い茂った幾本もの木に囲まれており、本件現場が風通しのよくない環境であった事実]
【甲23の1~6】「上記甲14~18及び甲20の音声データ・録音テープ」
 [剣道場内での不法行為の経緯が訴状記載のとおりである事実]
【甲24】「『剣道における暑熱環境下の水分摂取』と題する文献(全日本剣道連盟)」
 [①剣道が熱中症の起こりやすい競技とされていること、②熱射病は直ちに冷却処置を開始するとされていること]
【甲25】「気象データ(竹田2009年8月22日)」
 [当日の気温が30度を超えている事実]
【甲26】「熱射病(臨床外科増刊号薬物療法マニュアル所収)」
 [①熱射病でも体温が40度を下回ることも多くあり、体温が低かろうといって熱射病を否定することがないようにするとされていること、②熱射病では1時間以内に39度を目標に積極的に冷やすべきとされていること、③熱射病発症から2時間以上治療開始が遅れると予後が悪くなるとされていること]

鈴木秀洋(日本大学危機管理学部教授)

この記事の著者

鈴木秀洋(日本大学危機管理学部教授)

日本大学大学院危機管理学研究科教授兼日本大学危機管理学部教授。元文京区子ども家庭支援センター所長、男女協働課長、危機管理課長、総務課課長補佐、特別区法務部等歴任。都道府県、市区町村での審議会委員多数。法務博士(専門職)。保育士。著書に『自治体職員のための行政救済実務ハンドブック 改訂版』(第一法規、2021年)、『行政法の羅針盤』(成文堂、2020年)、『子を、親を、児童虐待から救う』(公職研、2019年)、『虐待・ⅮⅤ・性差別・災害等から市民を守る社会的弱者にしない自治体法務』(第一法規、2021年)等。

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