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2017.04.10 政策研究

全国初のユニバーサル就労推進条例を議員提案で制定~働きたくても働くことができない全ての人が仕事に従事できる地域社会を目指して~

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条例に基づく具体的な取組事業

 条例に基づく形で平成29年度から以下の事業が始まります。
① ユニバーサル就労相談窓口運営事業
 ・働きたくても働きにくい全ての人、関係者がまずは立ち寄り、相談できる第1次相談場所を開設する。
 ・相談者の特徴によって、どこに行けば最も適切な就労支援・マッチングが可能かを紹介する。
② ユニバーサル就労推進協議会運営事業
 ・ユニバーサル就労に関わる様々な分野の各種相談窓口等の関係機関、事業所、事業者団体等に参加いただく協議会を設ける。
 ・様々な情報交換を行うとともに、各種のユニバーサル就労推進事業に関する意見を伺う。
③ ユニバーサル就労支援プロジェクト事業
 ・生活困窮者を対象とした既存の就労準備支援事業を、様々な就労困難者(ユニバーサル就労対象者)にまで対象を広げる形で取り組むプロジェクト。
 ・就労困難者の個別支援を行う一方で、多様な働き方を提供できる協力事業所の開拓や雇用継続に向けた相談や支援を行う。
④ 市民ネットワーク推進事業
 ・市民、事業所等への「ユニバーサル就労」の広報、啓発。
 ・ユニバーサル就労対象者を社会の一員として支えていくために、市民意識からの土壌形成を進める。

 条例はできましたが、全てはこれからです。「何とかスタート地点に立てた段階」という認識です。「条例をつくって終わり」ではなく、今後は議連参加議員も事業をサポートしていこうと考えています。
 考えている取組みは、大きく2つあります。
 1つは「広報活動」への取組みです。現状では、市民や事業所の多くは「『ユニバーサル就労』ってどういうこと?」という段階で、まだまだ浸透した言葉、考え方ではありません。「ユニバーサル就労」の必要性などについて、様々な地域、場面で分かりやすく説明、広報していきたいと思います。
 もう1つは「企業開拓」への取組みです。議員各自は、それぞれに関係する地域、団体等の中で、多くの企業等とのネットワークを持っています。こうしたネットワークを生かしながら、ユニバーサル就労に理解を示し賛同いただける企業の開拓を進めていければと考えています。

「3つの初めて」の経験から、今後も「議会としてまとまる強さ」を

 今回の取組みの中で、我々は「3つの初めて」を経験しました。
 1つ目は、「全国初」の「ユニバーサル就労推進条例」を制定したことです。全国の市町村の先駆けとなる取組みになるよう、今後も気を引き締めて取り組んでいきたいと思います。
 2つ目は、「富士市議会初」の「政策的な議員提案条例」を制定したことです。これまで議会自身のあり方を規定した議会基本条例はありましたが、政策的な条例の議員提案は初めてでした。山あり谷ありでしたが、大きな自信にもなりました。他の政策課題についても広げていければと思います。
 3つ目は、「富士市初」の「議会・行政が協働して取り組んだ条例・事業検討」であったことです。「議会と行政は市政の車の両輪」といわれながら、これまでは議会は行政を監視するという関係がほとんどでした。しかし今回、行政側からの提案もあり、条例案、事業案をともに検討しながらまとめ上げることができました。
 議会側が会派を超えた「議連」としてまとまって活動、提案を行ったことが、行政側を動かす大きな力になったと思います。議会がまとまったときの強さを実感しました。
 今後の議会活動においても、今回の経験を生かしながら、真の意味で「車の両輪」として活動していきたいと思います。

この記事の著者

影山正直(富士市議会議長)/小池智明(富士市議会議員・ユニバーサル就労推進議員連盟会長)

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