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2019.01.15 議会改革

清々しい風を取手市議会に運んだ中学生議員【取手市議会】

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『議員NAVI』編集部

取手市議会×取手二中コラボ企画

 2018年12月20日に取手市議会で「中学生議会」が開催されました。テーマは「議会を知り・未来を語る」。取手市議会と取手市立第二中学校(取手二中)がコラボレートして、議会と中学生が交流する取組みは、今年で3回目となります。取手二中3年生の生徒が現役の取手市議会議員から事前に議会とは何かを学び、自分たちで政策を考え、取手市議会を訪れ、実際の議場で会派ごとに厳選された政策提案を行うという本会議さながらの中学議会が繰り広げられました。

 

 中学生議会に先立つ同月13日、現役の取手市議会議員が取手二中を訪れました。まず、3年生を対象に議会とは何かを説明した後、各クラスを8つの会派(グループ)に分け、各会派で議案作成のグループワークを行いました。そのうえで、会派ごとに議案発表を行い、生徒、先生、参加した議員、事務局職員が良いと考えた議案に投票しました。そこで選ばれた5会派が中学生議会においてそれぞれの議案を提案することとなりました。

中学生議員による議長選挙

 当日、緊張した面持ちで議場に入ってきた生徒たち19人は議席に着席し、まず議長選出を行いました。議長志願者は2名おり、それぞれから所信表明が行われ、それをふまえて出席した中学生議員による選挙によって右崎杏奈さんが選ばれました。この議長選挙や開票作業も実際の議長選出と同様の手続が執られ、厳粛な雰囲気の中で進み中学生の緊張感が傍聴席にも伝わってきました。そんな中でも志願者2名は正々堂々と所信表明演説を行っていました。1緊張した面持ちで議席に座る中学生議員

2本番さながらの議長選挙

3開票作業

4議長に就任した右崎杏奈さん

各会派からの政策提案

 その後、右崎議長の進行のもと、各会派による議案の提案が行われました。提案時には、各会派全員が発言席に出て提案説明を行いました。議案は、利根川の近くにショッピングモールやアウトドア場を作るという案や、「とりでポイントカード」を作り取手市で買い物する人を増やすという案、放置自転車対策として有料の自転車置き場を設置する案、フリースペースに机や椅子を増やし、学生が勉強できる場を作るという案、安全対策として街灯の少ない場所に国庫支出金や地方債を使って街灯を設置するという案が出ました。どの提案も自らの生活に密着した問題から生まれたもので、自分たちの住む取手市はこうあって欲しい、こうなったら素晴らしいという思いを反映しているものでした。生徒たちは提案説明に際して、実際に街灯の少ない場所がどれだけ暗く危険がひそんでいるかを調査し、議場でその写真を見せながら解説するなど熱のこもった説明を行っていました。5十明党(会派名)からの提案説明
6エッフェル党(会派名)からの提案説明

質疑と討議

 各会派から提案説明が行われた後、各議案について質疑と討議が行われました。質疑と討議は、中学生議員や取手市議会議員から発言がありました。中学生議員からは、各議案に対しての素朴な質問や具体的な方法に対する建設的な指摘が述べられ、このあたりから当初緊張して強張っていた中学生議員の顔も徐々に柔らかくなり、挙手をしてその場でボタンを押して発言する人数が増えてきて活き活きとした空気が議場全体を包み込んでいました。7取手市議会議員からの質問8質問に自席で答える中学生議員

 取手市議会議員からは各議案の素晴らしい点やより具体的な考察を促すような指摘、提案した中学生自身が気付かなかった提案内容の意義が述べられ、中学生議員が行った提案に対して非常に温かく優しい眼差しが向けられていました。9採決前の休憩中に議案について振り返る中学生議員と取手市議会議員

採決

 活発な質疑と討議の後、各議案に対して押しボタン方式によって採決が行われました。結果は、5議案のうち、可決したものが4議案、否決されたものが1議案でした。可決された議案は取手市議会入江洋一議長に提案されました。10採決の結果11可決された議案を入江議長(写真左)に手渡す右崎議長(写真右)

清々しい風を運んだ中学生議員

 入江議長からは、今回の中学生の議案に対して課題への改善策を若者の発想で見出しており、現役の議員も考えないような点を指摘してよく勉強していると評価し、可決した議案については今後しっかりと議論していきたい、否決された議案についてはなぜ否決されたのかを考え立ち向かっていく気持ちを大事にして欲しいと講評を述べました。 

 今回の中学生議会に参加した生徒は、この経験は宝物になった、高校に入っても取手市のことを考えていきたいと語りました。また、議長役を務めた右崎さんは、最初は緊張したけれど途中から楽しんでできた、これからも取手市のために何かをしたいと語ってくれました。

 中学生への事前のアンケートで、「『取手市議会』や『取手市議会議員』イメージは?」という質問に対して、「1.わからない」86、「2.興味がない」62、「3.遠い存在」51だった結果が、このコラボレーション企画を行った後のアンケート「市議や市職員と接し、皆さんはどう感じた?」という質問に対して、「1.とてもよい」92、「2.おもしろかった」85、「3.明るい」84、「4.興味がわいた」67に変わっていました。

 一般的に子ども議会や学生議会は、主権者教育などを目的として学生への啓発活動といった形で取り組まれることが多いですが、今回の中学生議会では現役の市議会議員も中学生と一緒に市の課題に取り組んでいこうという姿勢が特徴的でした。それは、議案作成の準備段階から議員が一緒に取り組んだり、本番さながらの議会進行、議案の採決等を行ったりすることに顕れています。こうした取組みは、中学生にとっても市政や議会のことが身近に感じられるとともに、取手市議会にも中学生が運んだ清々しい風が流れ、議会終了後、議員の方々の顔が非常に明るく晴れ晴れしていたことが印象的でした。。12最後に全員で記念撮影

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