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2023.08.25 議員活動

第13回 「子どもの声は騒音か」をドイツとの比較で考える

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子どもがいると迷惑施設なのか

千葉〔弁〕 先ほどのとおり、環境確保条例では子どもの声を騒音の対象から外しているのですが、東京都の現状を見ると、ドイツほどの効果は上がっていないように見受けられます。
石田〔議〕 公園や小学校など、子どもがいる施設が迷惑施設にカウントされているかのような様相さえ見受けられるところです。
加藤〔議〕 高齢者には子どもの声が特に煩わしく聞こえることもあるでしょう。
千葉〔弁〕 それはどうしてなのでしょうか。
加藤〔議〕 加齢によりリクルートメント現象を発症させることがあります。この症状は小さな音は聞こえないが、一線を越えて大きな音になると割れたり、響くように聞こえるというものです。
千葉〔弁〕 高齢者にとっては切実な問題ですね。
加藤〔議〕 子どもの声の騒音問題というのは、高齢化社会が引き起こしているともいえるのではないでしょうか。
千葉〔弁〕 何か解決方法はないものでしょうか。
加藤〔議〕 防音工事をすればよいという意見もあるでしょう。しかし、子どもたちを塀の内側に閉じ込めるのが、本当に良いことなのかどうか。
石田〔議〕 それがたった一人だけの反対の声というケースもあるでしょう。一人ひとりの声が大事であることはいうまでもありませんが、他方でもっともっと多くの子どもたちもいるのです。どこかで政治が決断することが必要な場面はあるはずです。

日本ならではの解決方法はないのか

上村〔弁〕 例えば、今の日本の公園では、子どもの成長から防災まで、あるゆる目的を一緒くたにまとめている面があるように思います。タイムシェアであったり、目的別であったり、いろいろと方法はあるのではないでしょうか。
中村〔議〕 中野区では2020年に「公園再整備計画」を策定しました。この公園再整備計画には様々な内容が含まれていますが、子どもとの関係でいえば、2022年に公園ルールを見直しました。例えば、中規模以上の特定の公園ではボール遊びが可能となります。
加藤〔議〕 ダメダメをダメではないものにしていく、ということですね。不必要な規制は積極的に除いていくべきだと思います。
千葉〔弁〕 花火も場所がありません。手持ち花火は日本の伝統文化だと思うのですが。
サンドラ〔コ〕 ちなみにドイツでは、大みそかに盛大に花火を打ち上げる習慣があります。町々でどんどん打ち上げるのです。本当にうるさい(笑)。
千葉〔弁〕 ドイツ人は普段は音に敏感ということですが、例外もあるのですね(笑)。

おわりに

滝口〔弁〕 「子どもの声は騒音か」というテーマは、「騒音問題」にとどまらないことが分かりました。日本とドイツとの比較から、日本でもまだまだ解決方法を探っていくための方策があることも分かりました。議員と弁護士との相互理解がさらに深まることを祈念し、今回の勉強会を終わりにしたいと思います。

(1) 石上敬子「ドイツにおける児童騒音訴訟に関する一考察:連邦イミシオン防止法における特権化の意義」同志社法學68巻7号。

滝口大志(弁護士)

この記事の著者

滝口大志(弁護士)

1982年千葉県生まれ 千葉大学法経学部法学科卒業、九州大学法科大学院修了 弁護士登録(第一東京弁護士会)(新第65期) 主な著書に、『建物明渡請求の事件処理80〔第二版〕』(税務経理協会、2021)など。

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