議会改革の推進
議会基本条例という法規範にのっとり、住民に対して体系化された議会の在り方や議会改革の在り方を宣言し、議会活動や議会改革の「見える化」を図り実践していくことは、より議会の説明責任を果たす意味でも重要である。そのためには、議会基本条例を制定されていない議会にあっては、その制定に向けて議会内で徹底した議論が必要であるとした。
そして、議会基本条例の制定後は、規定したとおり実践されているかどうか検証が重要であるとし、この場合には、議会・議員自身による評価だけでなく、第三者機関による客観的評価も必要であり、評価後は住民に対して公表すべきであるとした。
また、議会事務局の支援機能の強化については、議会事務局の独立性・専門性の確保のため、県と複数の市町が一部事務組合を設置して職員を採用して研修後、その職員を共同設置した県・市町の議会事務局へ出向させ、議長が任免する等の方策も検討すべきであると提言した。
さらに議会図書室機能の強化も重要であり、議員が政策立案等をするに当たって必要な資料要求等に対応するため、司書等の専任職員の確保に努めるべきであるとした。
なお、議会改革の推進のためには、議会事務局改革が不可欠であるとし、二元代表制の下で、議員とともに力を合わせて積極的に議会改革に取り組んでいくべきであり、真の議会改革が成果を挙げるためには、事務局職員も議員とともに住民の負託に応えるべき職務を全うするという意識を持つように、議会事務局職員の意識改革が極めて重要であると指摘した。
今後の自治体議会の方向性
自治体議会に議会基本条例が登場して以来、今年の5月で10年を迎えた。当研究会の萩野虔一座長の「二元代表制に迫るならば、住民にとってどの会派が、誰が一番良い政策の提案ができるか。『数の論理』から『理の論理』を目指そうとするのが地方自治体議会ではないか」(【報告・提言】の公表に当たって)との考えが、議会基本条例制定から10年が経ようとしている今日の自治体議会にも当てはまるのではないか。
今回公表した【報告・提言】の内容は、副題に「自治体議会の明日に向かって」とあるように、今後の全国の自治体議会の改革のひとつの方向性を示唆したものであり、全国の多くの自治体議会でこの【報告・提言】が活用され、実践されることを期待している。
また、自治研センターとしては、この【報告・提言】書を県内14市・15町の全ての自治体議員と議会事務局職員全員に1冊ずつ配付した。議会改革の主役である議員だけでなく、議会事務局職員も議員と一緒になって議会改革を推進していただきたいとの思いからである。もちろん異論反論もあることは承知しているが、これを基に各議会で議員と事務局職員が議会改革について議論する際のたたき台にしていただきたいと考えており、各議会から要請があれば、いつでも出かけていき議論させていただく用意はある。
なお、この研究会に係る自治研センターの一連の活動は、5月12日、2016年度日本自治創造学会において、「改革発表会」ベスト5に選ばれて表彰され、同学会を通じて広く全国発信されることになった。今後の自治体議会の方向性について、全国の自治体議会関係者
と大いに議論し、意見交換させていただくことを願っている。
【各報告書へのリンク】
●「市町議会の在り方に関する研究会」【報告・提言】
○総務省「地方議会に関する研究会報告書」
○全国市議会議長会「地方分権時代における議事機関としての役割を果たす議会のあり方について」【報告・提言】