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2016.03.10 選挙

今後、求められる政治的教養を育む教育とは

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公職選挙法の規定を踏まえた留意点

 また、今回の公職選挙法の改正により選挙権年齢が満18歳以上に引き下げられ、選挙権を有する生徒が参加して実践的な活動を行うことが考えられる。政治的な教養を育むために行われる指導は、特定の党派教育を行うことを目的とするものではなく、現在の社会について探究しようとする意欲や態度を育み、公民としての資質を養うための指導であり、その資質・能力を育むという点で満18歳以上の生徒とそれ以下の生徒を区別する必要はない。
 しかしながら、特に選挙運動期間中においては、公職選挙法に基づき満18歳未満の生徒が満18歳以上の生徒に、自分が支持又は評価している特定の政党等に投票するよう呼びかける場合などには、公職選挙法上満18歳未満の者に禁止されている選挙運動となるおそれがあることから、留意が必要である。また、教育者としての地位に伴う影響力を利用した選挙運動をすることが禁止されていることから、生徒に対して選挙運動期間中等に指導を行うに当たっては、特定の候補者や政党に対する投票行為を促す又は妨げることのないよう特に留意することが求められる。
 さらに、実際の選挙に合わせて模擬選挙を実施する場合には、公職選挙法上、選挙運動を行うことができる期間に実施することとなるため、選挙運動について、公職選挙法上、様々な制限がある中、それらに抵触することがないよう留意して実施する必要がある。特に関係する制限としては、事前運動の禁止や人気投票の公表の禁止、文書図画の頒布・掲示の制限、投票の秘密保持、満18歳未満の者の選挙運動の禁止などが挙げられる。

充実した指導を行うための工夫

 これらの活動については、選挙管理委員会や選挙啓発団体、議会活動の広報などを進めている議会事務局などと、校長以下学校として組織的に連携することによって、学校側の負担を軽減するとともに充実した学習活動を行うことが期待される。その際、都道府県単位で選挙管理委員会と教育委員会等関係部局が連携を図ることにより、各学校に対する協力が円滑に進むことも期待される。
 また、指導資料においては、学校における具体的な疑問に答えるためにQ&Aを示している。その中では、例えば、「Q 政治的教養を育む教育を実施する場合には、特定の政党に属している首長や国会議員、地方議会議員、政党関係者などを学校に招くことはどのように考えればよいでしょうか」との問いを掲載している。このことに対しては、学校として計画的に取り組むことや生徒に対する事前、事後の指導の配慮、政治家等との事前打合せにおいて政治的教養を育む教育のねらいや配慮事項を伝えること、保護者への周知、複数の会派を招くなどの工夫、公職選挙法への配慮などを示している。
 さらに、取り上げる政治的事象によっては、保護者が現実の利害関係や、特定の政治的立場にいることも想定される。
 このため、学校で取り組む実践的活動については、現在の社会について探究しようとする意欲や態度を育み、公民としての資質を養うための指導であり、特定の党派教育を行うことを目的とするものではないことを、必要に応じて保護者に周知したり、当該指導を地域に公開することによって、学校の活動を正確に理解していただくよう配慮したりすることも有効である。特に、保護者や地域の人々の協力を得て活動に取り組む場合には、活動の趣旨を説明することが求められる。
 政治的教養を育む教育の充実に向け、各学校においては、これらを参考にしながら学習活動を実施することが期待される。また、教育委員会等においても、各学校における好事例や指導上の工夫をまとめたり、教員の研修を行ったりするなどの取組が期待される。

※ご紹介した資料については、文部科学省ホームページに掲載しているので、参照いただきたい。
 文部科学省ホームページ http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/shukensha/1362349.htm

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