地方自治と議会の今をつかむ、明日につながる

議員NAVI:議員のためのウェブマガジン

『議員NAVI』とは?

検索

2016.03.10 選挙

今後、求められる政治的教養を育む教育とは

LINEで送る

【模擬議会】
○課題解決を目指して議論しよう

 この活動は、間接民主制の根幹をなす議会における法律成立までの法案の審議過程を体験する学習プログラムである。生徒は、選挙を通して選ばれた議員として、実社会の課題を議案とし、実際の議会と同様に委員会や本会議といった審議過程を経て、採決までを行う。議会における議案の審議過程を体験することを通じて、
・議会制民主主義と政治参加に対する関心を高める
・自分の意見には根拠が必要であることを理解するとともに、異なる立場の意見がどのような根拠に基づいて主張されているかを考察する
・現実の社会においては様々な立場やいろいろな考え方があることについて理解し、それらの争点を知った上で現実社会の諸課題について公正に判断する
ことを期待するものである。
 ここでは、争点の整理、討論の準備、委員会の開催、本会議の開催、振り返りといった活動の流れを示している。
 模擬議会では「身の回り・ローカル・ナショナル・グローバル」の各領域における実際のテーマを扱う。生徒は、4つの議案のうちどれか1つを担当し、与党は賛成の立場から、野党は反対の立場から審議することとなる。全ての議案について、本やインターネットで調べた上で賛成・反対の理由を挙げ、争点を整理することとなる。
 討論の準備としては、政党分け、委員会分けを行った上で討論の作成を行う。その際、討論の根拠となる事実や具体例、引用できるものを探し、討論の根拠を明確にすることとなる。そして、議案の趣旨説明や質疑応答を作成する。
 また、委員会や本会議では、シナリオに従い、採決などを行うこととなる。
 このような活動を通して、生徒は法案を作成し、審議する立場を経験することとなる。

学校の政治的中立性の確保

 実践的な学習活動を行うに当たっては、指導が教育基本法14条2項で禁止されている「特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育」とならないよう、実践に基づく留意点が各学校で蓄積されているところである。指導資料においては、学校の政治的中立性の確保について、次のような点に配慮して学校として校長を中心に組織的に取り組むことを示している。
① 現実の具体的な政治的事象は、内容が複雑であり、評価の定まっていないものも多い。また、地域の課題などについては保護者も含め生徒の周囲の者が、現実の利害の関連等を持つ場合があるなど、国民の中に種々の見解がある。また、現実の具体的な政治的事象について種々の見解があり、1つの見解が絶対的に正しく、他のものは誤りであると断定することは困難であり、一般に政治は意見や信念、利害の対立状況から発生するものである。そのため自分の意見を持ちながら、異なる意見や対立する意見を理解し、議論を交わすことを通して、自分の意見を批判的に検討し、吟味していくことが重要であり、指導に当たっては、1つの結論を出すよりも結論に至るまでの冷静で理性的な議論の過程が重要であることを生徒に理解させることが重要である。
② さらに、多様な見方や考え方のできる事柄、未確定な事柄、現実の利害等の対立のある事柄等を取り上げる場合には、生徒の考えや議論が深まるよう様々な見解を提示することなどが重要である。
③ その際、特定の事柄を強調しすぎたり、一面的な見解を十分な配慮なく取り上げたりするなど、特定の見方や考え方に偏った取扱いにより、生徒が主体的に考え、判断することを妨げることのないよう留意することが求められる。
  なお、指導に当たっては、新聞など様々な資料を活用することが考えられる。その際、教員が授業に当たって使用する補助教材(いわゆる副教材)については、平成27年3月4日初等中等教育局長通知「学校における補助教材の適正な取扱いについて」にも留意し、客観的かつ公正な指導資料に基づき指導するように留意する必要がある。
  また、新聞等を活用する場合も多いと考えるが、新聞等はそれぞれの編集方針に基づき記事を記述していることから、現実の具体的な政治的事象を取り上げる際に副教材として使用する場合には、一紙のみを使用するのではなく、多様な見解を紹介するために複数の新聞等を使用して、比較検討することが求められる。
④ さらに、現実の具体的な政治的事象について指導で取り上げる場合には、教員が複数の観点について解説し、生徒に考えさせることが求められる。そのため、生徒の話合いが1つの観点についてのみ終始し議論が広がらない場合などに、教員が特定の見解を取り上げることも考えられる。さらに、議論の冒頭などに、個別の課題に関する現状とその前提となる見解などを教員が提示することも考えられる。
  しかしながら、教員は自らの言動が生徒に与える影響が極めて大きいことから、教員が個人的な主義主張を述べることは避け、中立かつ公正な立場で生徒を指導することが求められる。

Copyright © DAI-ICHI HOKI co.ltd. All Rights Reserved.

印刷する

今日は何の日?

2024年 516

日本女子登山隊、女性初のエベレスト登頂(昭和50年)

式辞あいさつに役立つ 出来事カレンダーはログイン後

議員NAVIお申込み

コンデス案内ページ

Q&Aでわかる 公職選挙法との付き合い方 好評発売中!

〔第3次改訂版〕地方選挙実践マニュアル 好評発売中!

自治体議員活動総覧

全国地方自治体リンク47

ページTOPへ戻る