新潟県立大学准教授 田口一博
選挙 → 政治家 → 政治=政策選択 → 政策 → 幸福の実現・増進
非常に単純化していえば、人にとって大事なのは幸福を追求することであって、選挙はその入り口にある手続にすぎない。選挙という仕組みがあって、そこに参加できることはデモクラシーにとって極めて大事であるが、選挙そのものは目的ではない。したがって選挙への参加を呼びかけるとすれば、選挙の先にある政治家を選び、政治という話合い・合意形成によって政策を決めることが大事なのだ、がきちんと理解されなければならないのである。
若者が要求して、ではなく、諸外国との比較によって始められることになった18歳選挙権。第1回となる2016年参議院選挙では、18歳に選挙についての学習をさせると、投票に行く率が高くなる、は高校やメディアの働きかけで成果が出たようである。問題はこれから。新有権者のみならず、その前の小中学生にも、そして「主権者教育」を受けずに大人になってしまった世代にも、議会・議員は働きかけを行っていかなければならないのである。
今こそ議員は「先生」をしよう!
18歳選挙権導入はどうだったか
これまで選挙のたびに若者の投票率が低いことが問題とされてきた。
選挙を執行する行政委員会である選挙管理委員会は、各種選挙が終わるごとに代表的な投票区を選び、年代別・性別の投票率を集計して選挙の準備から結果までをまとめた「結果調」などに掲載してきた。また、それとは別に選挙啓発を行っている公益財団法人明るい選挙推進協会(全国)、明るい選挙推進協議会(都道府県・市区町村域)や報道機関などは、アンケートやインタビューなどによって「どうして投票したか」、「なぜ、その候補者(政党)に投票したのか」などを調査してきた。
今回の参議院選挙では、総務省は特に18歳・19歳有権者の参議院選挙における投票の全数調査を選挙管理委員会に依頼した。その集計結果が9月13日の総務大臣記者会見で概略次のように述べられている。
18歳の投票率 ・・・・・・・・・・・・51.28%
19歳の投票率 ・・・・・・・・・・・・42.30%
18・19歳の平均投票率 ・・・・46.78%
20歳代全体の投票率 ・・・・・・35.60%(抽出調査)
全年齢の投票率 ・・・・・・・・・・・54.70%