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2016.03.10 選挙

今後、求められる政治的教養を育む教育とは

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文部科学省初等中等教育局主任視学官 梶山正司

 平成26年6月、日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律が成立し、同法施行後4年を経過した日(平成30年6月21日)以後、18歳以上の者は、投票権を有することとなった。また、平成27年6月、公職選挙法等の一部を改正する法律(以下「改正法」という)が成立し、平成28年夏の参議院議員通常選挙から、18歳以上の者は選挙権を有することとなった。このことにより、新たに有権者となる若い人たちの政治や選挙への関心を高め、政治的教養を育む教育の重要性は更に高まっている。
 このため、文部科学省では、政治的教養の教育等に関する通知の発出、政治や選挙等に関する高校生向け副教材の提供等を行い、政治的教養を育む教育の一層の推進に努めているところである。

政治的教養の教育等に関する通知の発出

 昭和44年に当時の文部省は「高等学校における政治的教養と政治的活動について」を発出し、①授業における現実の具体的な政治的事象の取扱いについては慎重を期さなければならないという観点から留意事項を示すとともに、②生徒の政治的活動について、当時の時代背景や選挙権年齢が20歳以上であることを前提に、学校内外を問わず、教育上の観点から望ましくないとして指導するよう求めていた。文部科学省では、本通知を廃止し、新たに「高等学校等における政治的教養の教育と高等学校等の生徒による政治的活動等について」を発出した。
 この通知の趣旨は、公職選挙法等の改正を踏まえ、国家・社会の形成者としての資質・能力を育むことが一層期待されることを前提としつつ、学校における政治的中立性の確保等の観点から留意点を取りまとめたものである。
 政治的教養を育む教育については、授業において、現実の具体的な政治的事象を取り扱うことや、模擬選挙や模擬議会など現実の政治を素材とした実践的な学習活動を積極的に行うことを明確化するとともに、留意事項として、
① 学習指導要領に基づき、校長を中心に学校として指導のねらいを明確にし、系統的、計画的な指導計画を立てて実施すること
② 1つの結論よりも結論に至るまでの冷静で理性的な議論の過程が重要であること
③ 教員は個人的な主義主張を述べることは避け、公正かつ中立な立場で生徒を指導すること
などを示している。
 また、高校生の政治的活動等については、公職選挙法等の改正は、若い人々の意見を政治に反映させていくことが望ましいという意図に基づくものであることを明らかにしつつ、他方、学校は教育基本法に基づき政治的中立性を確保することが求められること等を踏まえると、高校生の政治的活動等は必要かつ合理的な範囲内で制約を受けることを示している。
 その上で、
① 授業のみならず、生徒会活動、部活動等も学校の教育活動の一環であり、生徒が教育活動の場を利用して政治的活動等を行うことは、これを禁止することが必要であること
② 放課後や休日等であっても、学校の構内においては、学校施設の物的管理の上での支障等が生じないよう、制限又は禁止することが必要であること
③ 放課後や休日等に、学校の構外で行われる政治的活動等については、
 ・違法なもの等は制限又は禁止することが必要であり、また、学業や生活に支障があると認められる場合などは適切に指導を行うことが求められること
 ・満18歳以上の生徒の選挙運動は尊重することになり、その際、公職選挙法上特に気を付けるべき事項などについて周知すること
 ・放課後・休日等の構外での政治的活動等は、家庭の理解の下、生徒が判断し行うものであり、その際、生徒の政治的教養が適切に育まれるよう、学校・家庭・地域が十分連携することが望ましいこと
といった留意事項を示している。
 その他、インターネットの特性を踏まえた指導の必要性や、学校・家庭・地域の連携の重要性について言及している。

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