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2016.06.27 選挙

公職選挙法の一部改正(有権者の投票環境の向上)について

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総務省自治行政局選挙部管理課課長補佐併任訟務専門官 滝川聡史

 共通投票所制度の創設など有権者の投票環境を向上させるための方策等を盛り込んだ国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律及び公職選挙法の一部を改正する法律(平成28年法律24号。以下「改正法」という)が、第190回国会(通常国会)において成立した。
 本稿においては、改正法のうち公職選挙法の一部改正に係る部分について、その制定経緯、内容、地方自治体の対応等について、解説を加えることとしたい。
 なお、文中意見にわたる部分は私見であることをあらかじめお断りしておく。

1 改正法の制定経緯

 改正法のうち公職選挙法の一部改正に係る部分については、平成27年3月に公表された「投票環境の向上方策等に関する研究会中間報告」の内容を実現するものとなっている。
 この「投票環境の向上方策等に関する研究会」は、国政選挙・地方選挙を通じて投票率が低下傾向にある中、有権者が投票しやすい環境を一層整備し、投票率の向上を図っていくために、有権者の投票環境を向上させるための実効ある方策を検討することを目的として、各分野の有識者や選挙管理委員会の実務者により、総務省内に設置されたものである(座長:磯部力國學院大學法科大学院教授)。
 この研究会は、平成26年5月から平成27年3月までに7回の会合を開催し、同月「投票環境の向上方策等に関する研究会中間報告」を公表した。
 この中間報告は、3つの柱(「ICTを活用した投票環境の向上」、「期日前投票等の利便性向上」、「選挙人名簿制度の見直し」)と8つの項目により構成されており、中間報告のうち、「選挙当日における投票区外投票」、「期日前投票の投票時間の弾力的設定(期日前投票の環境改善)」、「投票所への子供の同伴」が、改正法案の内容として盛り込まれた。また、「投票所における選挙人名簿対照のオンライン化」については、公職選挙法施行令の一部を改正する政令(平成28年政令227号)により実現したところである。
 改正法案は、第190回国会(通常国会)において、平成28年2月12日に国会に提出され、衆議院においては、3月17日に衆議院政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会に付託され、同月18日の同委員会において一般質疑が行われた後、改正法案の趣旨説明、同月23日の同委員会において法案に対する質疑が行われた。
 この法案質疑に併せて、期日前投票所の増設等に関する訓示規定及び期日前投票所の開閉時間に係る検討規定を改正法案に盛り込むことを内容とする改正法案の議員修正案が提案され、改正法案及び修正案の採決が行われた結果、改正法案及び修正案についてはそれぞれ賛成多数で可決、改正法案は修正議決され、同月24日の本会議においても賛成多数で修正議決された(いずれも共産党のみ反対)。
 参議院においては、平成28年3月31日に政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会に付託され、4月1日の同委員会において、趣旨説明、質疑、採決が行われた。その結果、改正法案については、賛成多数(共産党のみ反対)で可決され、同月6日の本会議においても、改正法案については賛成多数(共産党のみ反対)で可決・成立した。
 そして、改正法は、平成28年4月11日に公布され、公職選挙法の一部改正に係る部分は選挙権年齢の18歳以上への引下げに係る改正公職選挙法の施行の日(同年6月19日)から施行することとされ、国政選挙ではこの夏の参院選から適用されることとなる。

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