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2016.02.10 議員活動

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自治体を超えた女性議員の連携でマニフェスト大賞に

 最後に、前例やしがらみを超えた取組の成果のひとつをご紹介します。
 2014〜2015年に東京都議会議員の田中朝子氏と共同で保育所入所申請者数や待機児童数の調査を行い、隠れ待機児童とも呼べる実態を明らかにした活動が評価され、2015年11月にマニフェスト大賞の政策提言部門にて、審査委員会特別賞をいただきました。
 田中朝子都議と協力し、特別区と政令市の43自治体の保育所申請/入所状況について調査した結果、待機児童の数え方は自治体によってバラバラであり、公称の待機児童数の少ない自治体ほど、いわゆる「隠れ待機児童」が多いという逆転現象を発見したのです。本結果を受けて、お互いの自治体で議会質問や担当者への提言を通して「待機児童数が実態を表してはいないことへの対応」と「保育需要を正確につかんだ上での保育諸施策の実施」を求めると同時に、現行では除外されている潜在的ニーズを併記するよう、国から各自治体へ要請することを求める要望書を衆議院議員へ提出しました。また、この要望を受け代議士が衆議院厚生労働委員会にて質問してくださり、その結果、2015年4月時点での待機児童を50人以上出した自治体に対し、国からカウント方法の調査が入ったことを確認しています。
 今回のマニフェスト大賞では、過去最高の2,467件1,433団体の応募があったとのことです。その中で受賞となった理由のひとつに「異なる自治体の議員の連携」がありました。マニフェスト大賞で異なる自治体の議員の受賞は初めてであったとのことで、2人のインタビュー記事の載せ方など、どうすべきか協議が持たれたとも聞いています。
 待機児童問題(隠れ待機児童問題)は、東京都と川崎市だけの問題ではなく、全国の都市部の課題です。ですから、別の自治体の議員にも所属政党などに関係なく、求められればデータを渡しています。多くの自治体で取り上げてもらった方が解決に近づけるでしょうし、またそれぞれの議員が同じ調査を行うのも非効率です。ゆくゆくは、自分の得意とするテーマの調査研究を全国の自治体の議員と共有できるようになればと考えています。
 地方議員は国会議員とは異なり政策秘書を持たず、政務調査に使える予算も微々たるものですから、議員ひとりの政務調査能力には限界があると感じています。待機児童問題以外でも異なる自治体で同じ課題を抱えるケースは多くありますから、複数の地方議員が連携して政策課題に取り組むことで「地方議員の政策立案」、「提言能力」を今よりずっと高めることができるのではないかと考えています。

(著書『ここが変だよ地方議員』萌書房、2015年より)(著書『ここが変だよ地方議員』萌書房、2015年より)

小田理恵子

この記事の著者

小田理恵子

川崎市議会議員 明治大学法学部卒業。前職は総合電機メーカーにて人事・人材育成関連のITコンサルティングに従事。2010年に初めて自治体相手の仕事にプロジェクトのチームリーダーとして参画し自治体の抱える多くの課題を知ったことから、「市民目線の行政」を実現するため、市議会議員に立候補して2011年に初当選し、現在2期目。 住民自治の推進を目指し、自治体業務や予算の見える化を推進。政策面では、若者施策や子育て施策に注力している。昨年のマニフェスト大賞の政策提言部門で、都市部の「隠れ待機児童問題」への取組が評価され審査委員会特別賞を受賞。 文中のイラストの出典となった著書『ここが変だよ地方議員』は、号泣議員に政務活動費の私的流用……、地方議員の不祥事が紙誌面をにぎわす昨今、会社員から川崎市議会議員へと転身した著者が、地方議員や議会の「?」や「!」を、4コマ漫画とエッセイで市民にお知らせしようと立ち上げたホームページの記事をまとめた一冊。「怒り心頭」、「抱腹絶倒」の議員・議会の実態がよく分かると全国で好評発売中(萌〈きざす〉書房、2015年3月刊)。

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