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2023.09.25 政策研究

ひろしまネウボラについて

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広島県健康福祉局子供未来応援課

1 ひろしまネウボラとは

 (1)「ひろしまネウボラ」とは
 「ひろしまネウボラ」とは、地域において子供の育ちに携わるすべての人たちが、それぞれの立場と資源を生かして、子育て家庭を見守り、支援していくための仕組みである。
 すべての子育て家庭の状況を把握し、その不安や悩みを予防的に支援し、解決するため、「完全な全数把握」、「関係機関連携」に重点的に取り組むこととし、具体的取組を基本型としてまとめている。
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(2)経緯・事業概要
 本県では、核家族化や女性の社会進出が進行する中、身近に相談できる人がいない等の育児の孤立が進んでおり、子育て中の親に対しての安心感が十分に醸成されていないこと、市町・県の窓口が身近にないため住民が相談しづらいこと、母子保健・子育て支援・保育担当課等相談窓口が別々であるため、両親及び子供に関する一元的な支援や、産後うつや虐待等のリスクの情報共有が不十分であり、リスクの早期発見・対応が難しいことなどの課題があった。
 そのため、平成29年度から、子育てに関する不安や負担を軽減し、子供を持ちたいと希望する人が安心して妊娠・出産・子育てできる環境をつくるため、県内3市町(尾道市、福山市、海田町)をモデル市町として「ひろしま版ネウボラ構築モデル事業」(以下「モデル事業」という)を開始した。

 モデル事業の内容は、モデル市町への補助事業であり、国の制度に基づく補助金等(子ども・子育て支援交付金、母子保健衛生費国庫補助金等)の対象とならない部分について、モデル事業の実施に必要な経費を対象としている。例えば、相談会や健診に係る人件費のうち、国の補助金等の基準額を超過する部分、また、家事・育児支援サービスや家庭教育講座等のサービス、産後ケア等の利用者負担の軽減に係る経費などである。
 平成30年度からは、さらに3市町(三次市、府中町、北広島町)が加わり、モデル市町は6市町に拡大した。
 令和元年度には、これまでの取組の成果を踏まえて、あるべき機能や体制等をまとめた基本型を整理した。
 令和2年度には、基本型で定める取組の再整理を行い、「完全な全数把握」、「関係機関連携」などを重点的に取り組む項目に位置付けることとした。
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 令和3年度には、モデル事業を終了し、それまでの6市町にさらに7市町が加わり、「ひろしまネウボラ」の実施市町は13市町に拡大した。取組としては、基本型の各取組が最終目標である「子育て家庭の安心感の醸成」にどう寄与しているかを測るための効果検証を開始した。
 令和4年度からは、さらに4市町が加わり、実施市町は17市町に拡大した。未実施市町に対しては、基本型実施に当たっての課題などについて伴走型支援を行っている。
 なお、未実施市町においても、子育て包括支援センターは設置済みであり、独自の取組を実施している。
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図1 「ひろしまネウボラ」を実施している市町数

(3)今後の展開
 ひろしま子供の未来応援プランにおいて、将来にわたって目指す社会像を「すべての子供たちが、成育環境の違いに関わらず、健やかに夢を育むことのできる社会の実現」としており、令和11年度には県内23市町すべてにおいて、「ひろしまネウボラ」が実施され、子育て家庭が自分の住む地域でいつでも相談でき、必要な情報や支援などが受けられており、子供たちの健やかな育ちに様々な人たちが関わって支えられていることを実感している姿を目指している。

2 現状と課題

(1)現状
 ひろしまネウボラの実施による継続的な効果を測るため、厚生労働省「乳幼児健康診査問診回答状況」のいくつかの指標について、平成29・30年度から取組を実施している6市町(以下「モデル6市町」という)と全国及び広島県全体との比較をしている。
 「子供に対して育てにくさを感じている親の割合」(3歳児)は、モデル6市町は全国を下回っており横ばいで推移している。また、「この地域で今後も子育てをしていきたい親の割合」(3歳児)は、モデル6市町も増加傾向にあり全国平均を上回っている。
 一方、「育てにくさを感じたときに相談先を知っている親の割合」(3歳児)は、モデル6市町も増加しているが、いまだ全国を下回っている。
 県全体の傾向としては、育てにくさを感じている親の割合が全国を下回っているものの、それでも約28%の親が育てにくさを感じていることから、引き続き面談機会を7回以上確保してポピュレーションアプローチを行い、早期の支援を行う必要があると考えている。また、約25%の親は育てにくさを感じた際に相談先を知らないことから、子育て家庭が孤立しないよう、ひろしまネウボラの場所や機能を認知してもらうだけでなく、ネウボラ拠点において相談対応などを行う相談員のサービスを向上させ県民から評価・信頼してもらえる、さらには利用した人が友人などに推奨したくなるような場所になっていく必要があると考えている。
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図2 子供に対して育てにくさを感じている親の割合(3歳児)

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図3 この地域で今後も子育てをしていきたい親の割合(3歳児)

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図4 育てにくさを感じたときに相談先を知っている親の割合(3歳児)

 ひろしまネウボラの認知については、令和3年度から県内全市町の18~49歳の県民(子供のいない県民を含む)を対象として県民意識調査を行い、県内市町で提供されている「妊娠期からの切れ目ない子育て支援」のサービスの中で知っている名称を質問している。令和3年度の認識率は「ネウボラ」20.3%、「子育て世代包括支援センター」13.5%であったが、令和4年度は「ネウボラ」28.8%、「子育て世代包括支援センター」27.3%とそれぞれ増加した。「子供あり(妊娠中含む)」に限ると、「ネウボラ」の認識率は、令和3年度は22.9%、令和4年度は34.5%であった。
 子育て家庭に限ると11.6ポイントの増加であり、実施市町における担当者の氏名の明示や丁寧な面談の効果が一定程度表れていると考えられるが、さらに認知度を高める取組は必要と考えている。
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表 県内市町で提供されている「妊娠期からの切れ目ない子育て支援」
サービスのうち知っている名称

(2)課題
 ひろしまネウボラでは、理念を定め、基本型の実施により面談機会を増やし、ポピュレーションアプローチによる切れ目ない支援を行っているが、実施市町の増加、人事異動による人の入れ替わり、ベテランの職員の退職による若い職員の増加、同一市町内でも拠点ごとで対応にばらつきがあることなどにより、ネウボラが子育て家庭にとっての相談先として選ばれていないという問題がある。マーケティングで使われる5Aモデル(認知⇒訴求⇒調査⇒行動⇒推奨)に当てはめて考えると、ひろしまネウボラの場所や相談員、サービスが認知されていないというだけでなく、認知はしているが不安や悩みがあるときに相談先として想起されていない、ネウボラを利用した知り合いから聞いた評判がよくない、一度利用したがそのときの対応に不満があるなど、それぞれの段階に課題がある。
 こうした課題の根底には、ひろしまネウボラが子育て家庭に提供できる価値が何であるかを子育て家庭に伝えきれていないこと、さらにいえば支援者の間でも十分に共有できていないことがある。このため、基本型として整理した機能的な側面だけでなく、「ネウボラを通じてどんな体験をしていただきたいのか」といった情緒的な側面からもネウボラの価値を言語化し、その言語化されたブランドのビジョンやコア・メッセージに基づく統一的なサービスの提供や一貫性のあるPRなどを通して、ネウボラのブランド価値の向上に取り組むこととした。

3 ブランディング、戦略的PRの必要性

(1)理念
 令和3年度には、「ひろしまネウボラ」が県民に届けたい価値を明確化し、各市町が同じ旗印のもとで地域の実情に応じた取組を進めていくことができるよう、「ひろしまネウボラ」の理念の再整理を行い、実施市町と共有を図った。
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(2)ネウボラのブランド価値、ロゴマーク
 令和4年度には、理念に続いて、ひろしまネウボラのブランド価値を改めて整理し、市町の職員との調整を行い、機能的価値だけでなく、情緒的価値や自己表現価値を整理するとともに、ひろしまネウボラの価値を表すロゴマークを作成した。
 ロゴマークには、ひろしまネウボラを利用した人が、ふんわりやさしさに包まれてホッとする、あたたかみを感じる、地域とのつながりを感じる、といった体験をしていただきたいという思いが込められている。
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(3)戦略的PRモデル事業
 令和5年度からは、ひろしまネウボラ実施市町の中から3市町をモデル市町として選定し、ブランディング及び戦略的PRを行う取組を開始した。
 ブランディングについては、県民に対するアウターブランディングだけでなく、ネウボラ相談員の理念に対する理解を深め、それを実現するためのサービスの向上などのインナーブランディングが重要と考えている。また、ひろしまネウボラのブランド価値と市町ごとの具体的な場所や機能を分かりやすくまとめ、動画、リーフレット、ホームページなどの形にし、SNSなどを通じて発信し、県民からの理解や共感を獲得していきたいと考えている。

乳幼児支援の新たなカタチ「ひろしま版ネウボラ」 | 広島県 (hiroshima.lg.jp)

この記事の著者

広島県健康福祉局子供未来応援課

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