ひろしまネウボラの認知については、令和3年度から県内全市町の18~49歳の県民(子供のいない県民を含む)を対象として県民意識調査を行い、県内市町で提供されている「妊娠期からの切れ目ない子育て支援」のサービスの中で知っている名称を質問している。令和3年度の認識率は「ネウボラ」20.3%、「子育て世代包括支援センター」13.5%であったが、令和4年度は「ネウボラ」28.8%、「子育て世代包括支援センター」27.3%とそれぞれ増加した。「子供あり(妊娠中含む)」に限ると、「ネウボラ」の認識率は、令和3年度は22.9%、令和4年度は34.5%であった。
子育て家庭に限ると11.6ポイントの増加であり、実施市町における担当者の氏名の明示や丁寧な面談の効果が一定程度表れていると考えられるが、さらに認知度を高める取組は必要と考えている。
表 県内市町で提供されている「妊娠期からの切れ目ない子育て支援」
サービスのうち知っている名称
(2)課題
ひろしまネウボラでは、理念を定め、基本型の実施により面談機会を増やし、ポピュレーションアプローチによる切れ目ない支援を行っているが、実施市町の増加、人事異動による人の入れ替わり、ベテランの職員の退職による若い職員の増加、同一市町内でも拠点ごとで対応にばらつきがあることなどにより、ネウボラが子育て家庭にとっての相談先として選ばれていないという問題がある。マーケティングで使われる5Aモデル(認知⇒訴求⇒調査⇒行動⇒推奨)に当てはめて考えると、ひろしまネウボラの場所や相談員、サービスが認知されていないというだけでなく、認知はしているが不安や悩みがあるときに相談先として想起されていない、ネウボラを利用した知り合いから聞いた評判がよくない、一度利用したがそのときの対応に不満があるなど、それぞれの段階に課題がある。
こうした課題の根底には、ひろしまネウボラが子育て家庭に提供できる価値が何であるかを子育て家庭に伝えきれていないこと、さらにいえば支援者の間でも十分に共有できていないことがある。このため、基本型として整理した機能的な側面だけでなく、「ネウボラを通じてどんな体験をしていただきたいのか」といった情緒的な側面からもネウボラの価値を言語化し、その言語化されたブランドのビジョンやコア・メッセージに基づく統一的なサービスの提供や一貫性のあるPRなどを通して、ネウボラのブランド価値の向上に取り組むこととした。