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2023.02.27 議会運営

第15回 「議会報告会(住民との意見交換会)」を議会からの「政策サイクル」の起点に ~「議会報告会あるある」を「ワールドカフェ」が変える~

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鹿児島県知名町議会の町民との「ワールドカフェ」

 ここで、2022年5月、筆者がファシリテーターを務めた鹿児島県知名町議会でのワールドカフェの進め方を紹介する。今回は、「知名町の20年後の未来」をテーマに、JA青壮年部、商工会青年部、社協職員、女性連、役場若手職員等の町民と議員を合わせて25人が参加。5人掛けのグループで、席替えをしながら、各15分の3ラウンドの対話を行った。
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鹿児島県知名町議会のワールドカフェ

 まず、自分ばかり話さない、思ったことは口に出す、模造紙に書き出す等のワールドカフェのルールを説明。話し合いのウオーミングアップとして、「今ここの気持ちは?」について、グループで共有してもらった。いよいよ第1ラウンド、「知名町の誇りに思うこと、残念に思うことは?」の問いで、町の現状について確認し合った。席替えの後の第2ラウンドでは、「20年後どんな未来を実現したいと願っているか?」の問いで、町のありたい未来について願いを語り合った。最初の席に戻る席替えをした後、町の総合計画について理解してもらいたいという思いから、総合計画に掲げられている21のアクションプランについて全員で確認。最後の第3ラウンドの問いは、「ありたい未来の実現のために、総合計画のアクションプランの中でそれぞれが挑戦したいテーマは何か?」。それぞれ優先順位の高い分野、事業の具体策について、お互いの意味付けを確認し合った。最後に、今回のワールドカフェのまとめとして、最後のラウンドの問いと同じ問いの答えを、各人がA3の紙に言語化し、書かれた内容と「今ここの気持ちは?」について共有して終わった。
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鹿児島県知名町議会のワールドカフェ

 全体で2時間のワールドカフェは、終始和やかな雰囲気で行われ、町民の皆さんからは、前向きな意見がたくさん出された。
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鹿児島県知名町議会のワールドカフェ

 地域単位で行う議会報告会では、事前に参加者の人数が分からなかったり、席替えをするほど人数が集まらなかったりするため、ワールドカフェが適当ではない場合もある。しかし、テーマを絞って自治体全域を対象として開催する場合や、議会と高校生や中学生との意見交換会等には、効果を発揮する手法である。また、地域単位で行う場合でも、対面式ではなく、少人数のグループ形式にして、報告より意見交換、「対話」を意識した運営方法にした方が、住民、議員双方の満足度は高まると思う。
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宮城県柴田町議会の高校生とのワールドカフェ

佐藤淳(青森大学社会学部教授/早稲田大学マニフェスト研究所招聘研究員)

この記事の著者

佐藤淳(青森大学社会学部教授/早稲田大学マニフェスト研究所招聘研究員)

青森大学社会学部教授、早稲田大学マニフェスト研究所招聘研究員。 1968年青森県十和田市生まれ。早稲田大学商学部卒業後、さくら銀行(現三井住友銀行)入行。法人部門を中心に12年間勤務後退職。日本社会事業大学大学院福祉マネジメント研究科修了、社会福祉士。早稲田大学大学院公共経営研究科修了。マニフェスト型選挙、地方自治体の組織開発、地方議会改革、市民協働のまちづくり、シチズンシップ教育のテーマで研究と実践を行う。 共著に「スピード開票実践マニュアル」(ぎょうせい)、「点描~変わりゆく現代社会」(ぎょうせい)、「あなたにもできる議会改革」(第一法規)、「実践学校模擬選挙マニュアル」(ぎょうせい)、「議会改革実践マニュアル」(第一法規)等。

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