青森大学社会学部教授/早稲田大学マニフェスト研究所招聘研究員 佐藤 淳
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【SHORT STORY】
3月のここち市議会は予算審査のために熱気であふれていた。お昼休みの事務局の執務室で、若手の古江議員と、同じく事務局の若手の江上が、生成AI、ChatGPTの活用について、立ち話をしている。
「江上君、あれ覚えてる? 先週、建設経済常任委員会の名古屋視察の報告書、メールで送ったじゃない。あれ、新幹線の席でChatGPTに情報を打ち込んだら、あっという間にできちゃったんだよ。ホントに便利な世の中になった。考えてみれば、議会の仕事って、ただ報告書をまとめることじゃなく、視察で見聞きしたことをどう市政に活かすかが本質だからね」と古江は熱心に語る。
江上は目を丸くして驚いた。「えっ、本当ですか? あの報告書、読んだとき全然そんな気がしなかったです。でも、実をいうと私、ChatGPTって、まだ実際には使ったことがないんですよ。市長もまだ生成AIに対しては慎重な構えをとっていて、国や近隣の自治体の動向を見守ってるって感じですから」。
「ChatGPTって、たまに変な答え返してくるよね。この間、ここち市でおいしい定食屋を尋ねたら、全く聞いたことがない店の名前が出てきてさ。やっぱり、Googleの方が賢い」と、お昼の出前を食べ終えて退屈そうにしていた山田次長が話に加わってきた。
ついさっき、議長室から笑顔で戻ってきた田島裕子事務局長が会話の流れに乗って、「山田次長、それは使い方が悪いんじゃない? 私も来週のここち小学校の卒業式の議長挨拶の原稿、ChatGPT先生にお願いしたの。今、議長から、この挨拶文“いいね”って褒められちゃったわよ」。
ChatGPTで作成したイメージ画像
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