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2022.06.10 議員活動

第10回 大川小学校事件から防災行政を考える

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防災意識の変化

滝口〔弁〕 加藤先生は河川工学がご専門です。専門家が持っている防災に関する危機意識と、実際に策定されているハザードマップの中身にはズレがあるのでしょうか。
加藤〔議〕 昔はあったと思いますが、東日本大震災をきっかけに、ハザードマップへの意識はかなり進んだと思います。また、「防災」というより「減災」、すなわちできる限り災害による被害を抑えるといった意識や、「縮災」、すなわち災害があっても速やかに復旧できることへの意識へと変化したと思います。
本目〔議〕 防災に関するルールでいえば、大地震が発生した場合、帰宅による混乱の防止のために、都内に勤務している人たちは基本的には3日間は勤務先にとどまってほしいと呼びかけています。ただ、保育園では、保護者に対し、すぐに迎えにきてくださいと連絡しているのが現状だと思います。そういった、災害発生時のルールと現実が乖離(かいり)していることもあります。
渡邉〔弁〕 ルールと現実が乖離しているのであれば、実際に災害が発生したときもルールがしっかりと働かないことになります。現状を踏まえた議論が平時に重要だということは、今回の判決で示されている部分だと思います。
江口〔議〕 災害に一番必要なのはイマジネーションだと思っています。東日本大震災の避難事例として「釜石の奇跡」と呼ばれるものがありますが、この避難行動は、災害イマジネーションがあったからできたのだと思います。もちろん事前の想定は大事だと思いますが、現場の状況を踏まえて、より安全な場所に避難できるという発想を持っていたら避難できるということがあるでしょう。市民の中で災害に関するイマジネーションが醸成されるようになればいいなと思っています。

むすびに

渡邉〔弁〕 大川小学校事件は本当に痛ましい出来事でした。私たちは「防災」、「減災」について教訓を得なければならないと思います。そのことが犠牲者の鎮魂となるでしょう。議員と弁護士との相互理解がさらに深まることを祈念し、今回の勉強会を終わりにしたいと思います。

渡邉健太郎 (弁護士)

この記事の著者

渡邉健太郎 (弁護士)

1979年、神奈川県生まれ。慶應義塾大学法学部卒業後、6年間の社会人経験(東京メトロ勤務)を経て、東京大学法科大学院へ入学。2011年弁護士登録(第一東京弁護士会)。現在、堀法律事務所に所属。第一東京弁護士会総合法律研究所スポーツ法研究部会副部会長、公益財団法人日本バスケットボール協会裁定委員。

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