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2021.04.12 議員活動

第5回 「再犯防止」から「安全・安心なまちづくり」を考える

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具体的にどのような支援が可能なのか

滝口〔弁〕 「再犯防止」に向けて、どのようなアウトリーチが考えられますか。
本目〔議〕 やはり就労支援ではないでしょうか。例えば、企業が採用条件に高卒資格を掲げていることがありますので、シングル家庭の母親のために高卒資格の取得を支援する制度があります。こども食堂で子どもたちに勉強を教える仕組みもあります。でも、なぜか加害者側にはこのような支援制度がありません。
千葉〔弁〕 保護司もただ話を聞くだけでは解決できないこともあるでしょう。保護司としても、保護観察者に何か目標というか選択肢を示すことができるとよいですね。
本目〔議〕 配偶者へのDVも児童虐待も被害者支援はあっても、加害者支援というのがあまりないのですよね。でも、加害者側も支援していかないと結局は同じことを繰り返して被害者が増えていくような気がします。

「安全・安心なまちづくり」と「プライバシー」、「職業選択の自由」

滝口〔弁〕 前科前歴はその人にとって他人に知られたくないプライバシーであるといえます。犯歴が社会に拡散すると、社会復帰の妨げになることもあるでしょう。前科前歴はプライバシーとして保護すべき一方で、安全・安心に関わる情報でもあります。
神田〔弁〕 前科といってもいろいろありますので、すべての前科者を拒むものではありません。しかし、一人の親としての立場からすると、性犯罪者だけは勘弁してほしいというのが本音です。
本目〔議〕 教師、保育士による性犯罪については再犯を特に防止しなければなりません。職業選択の自由があるのは承知していますが、性犯罪者の再任規制は絶対に必要です。
中村延子〔議〕 教員が懲戒免職になったときには官報に掲載されます。官報の検索期間を現在の5年間から40年間に延ばす運用になるとも聞いています。
滝口〔議〕 その方法では、氏名を変更したときには検索にヒットしないかもしれません。
中村〔議〕 失効後は無期限で教員免許を再取得できないようにするべきなのです。

「再犯防止」に向けた今後の取組みについて

滝口〔弁〕 「再犯防止」に向けた今後の取組みについて、考えをお聞かせください。
加藤〔議〕 政策を効率的に実現するためにも、犯罪の種別を分けて再犯率を分析するなど、基礎的なデータの分析を進めていくことも大事だと思います。
本目〔議〕 「再犯防止」には様々な立場の利害を調整しなければなりません。国・地方自治体・民間が一丸となった取組みが必要です。
江口〔議〕 精神論ははばかられるところではありますが、「やろうとしてできていない」と「やろうとしない」は別です。まずは再犯防止推進計画の策定が大切だと痛感しました。

おわりに

 今回の勉強会では、「安全・安心なまちづくり」をどのように具体化していくのかを議論した結果、「再犯防止」の取組みはまだまだ途上にあることが分かりました。議員と弁護士の交流と相互理解が一層進むよう祈念して本稿を終わりとさせていただきます。

滝口大志(弁護士)

この記事の著者

滝口大志(弁護士)

1982年千葉県生まれ 千葉大学法経学部法学科卒業、九州大学法科大学院修了 弁護士登録(第一東京弁護士会)(新第65期) 主な著書に、『建物明渡請求の事件処理50』(税務経理協会、2016年)など

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