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2016.11.10 政策研究

豪雨災害と三条市の防災対策~災害に強いまちづくりを目指して~

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(3)災害時要援護者対策の強化
 平成16年の水害における死者9人のうち7人は高齢者であり、そうした高齢者をはじめとする災害時要援護者を支援する体制の強化は急務でした。
 まず、心身の状態を踏まえた基準に基づき避難等に支援を要する方を掲載した災害時要援護者名簿を暫定的に作成しましたが、約5,000人の方が支援の対象者となり、様々な業務が輻輳(ふくそう)する災害時に市の職員だけで対応することは明らかに不可能な状況でした。
 そこでまず要援護者の絞り込みを行いました。本当に支援が必要な方を優先的に支援するため、心身の状態のみならず、単身世帯や高齢者のみの世帯、障がい者のみの世帯といった生活実態、居住実態も考慮した基準に見直しを行いました。その結果、現在では約2,200人まで対象者が絞り込まれています。
 このように対象者を絞り込んでもなお市の職員だけで全ての方々を支援することはできません。
 つまり地域全体での要援護者の支援体制構築が不可欠です。そしてそのためには、要援護者の個人情報が掲載された名簿を自治会、民生委員児童委員、消防団、介護サービス事業所といった地域の支援主体に提供することが欠かせません。
 しかし、名簿への掲載に本人の同意を求めるいわゆる同意方式では、個人情報を提供されることに対する漠然とした不安や回答の失念などにより、同意の意思表示をしない、いわば消極的な不同意者が少なからず生じると懸念されました。そこで三条市個人情報保護条例に基づく個人情報保護審議会に諮問し、必要な手続を経た上で、名簿への掲載に不同意の意思表示があった方以外は全て名簿に掲載し、地域の支援主体に提供する「逆手挙げ方式」に作成方法を変更しました。
 この変更によって、当初20%近かった不同意者の割合は、現在約5%にまで減少し、地域全体で要援護者を支援するための大切な基盤となっています。

(4)豪雨災害対応ガイドブックの作成
 災害時においては「自分の命は自分で守る」という「自助」をいかに適切に実施するのかが重要であり、とりわけ避難行動の選択は生死を左右する極めて重い判断にもなり得るものです。避難といえば一般的に避難所への避難、立ち退き避難を想像しがちですが、浸水が始まった段階で無理に避難所に避難しようとしてかえって危険な状況に陥る場合も少なくありません。自宅等の構造や立地、浸水の状況によっては、無理に立ち退き避難を行わずにその建物の2階以上に避難する「垂直避難」が有効な場合があります。
 そこで三条市では、この「垂直避難」の考え方を取り入れた「豪雨災害対応ガイドブック」を作成し、市内全戸に配布しました。このガイドブックに掲載された「逃げどきマップ」は、建物の構造や立地等をフローチャートでたどっていくと浸水の状況に応じて立ち退き避難を行うべきなのか、垂直避難を行うべきなのか、どのような備えが平時から必要なのかを示してくれる行動指南型のハザードマップとなっており、適切な自助を促す重要なツールのひとつとなっています。

豪雨災害対応ガイドブック「豪雨災害対応ガイドブック」は行動指南型のハザードマップとなっており、適切な自助を促す重要なツールのひとつとなっている。

三条市行政課防災対策室

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三条市行政課防災対策室

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