公益財団法人地方自治総合研究所主任研究員 今井照
役所の迷惑?
これから全3回で大震災における議会の使命について考えていく。実はこのテーマについては、全国市議会議長会に置かれた都市行政問題研究会が2014年2月に報告書を出している。「『都市における災害対策と議会の役割』に関する調査研究報告書」というもので、議長会のホームページからも読むことができる。この報告書はとてもよくできているので、ぜひ参照してほしい。ここでは、この報告書に書かれていることに加え、私が東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の苛酷事故で見聞したことや経験したことを含め、およそ「震災前」、「震災時」、「震災後」の3つの時系列に分けて考えることにする。
東日本大震災が起きた2011年3月11日は、多くの自治体で予算を審議する議会の会期中だった。例えば福島県川内村では、議会の最終日、ちょうど新年度予算などが可決され、閉会になった直後に起きた。まだ議場に残って議員たちと挨拶などを交わしていた村長は、その場にいた幹部職員や議員たちとともに、議場の机の下に潜り込んだという。議場は築40年以上もたっている庁舎の2階にあり、激しく揺れた。
また、会期中だった福島県国見町議会では、たまたま本会議がない日だった。庁舎は鉄筋コンクリート造だったが、3階の議場は完全に天井が落ち、議員席はもとより、傍聴席、理事者席などのほとんどを覆った。もし本会議開会中であったら、議員はもちろん役場の管理職にも多数の犠牲者が出たところだった。唯一、議長席だけが難を逃れている(写真1)。ちなみに国見町役場庁舎は液状化に見舞われて使用不能になり、震災の日から文化センターに仮役場を開設して、その後再建されている。
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