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2021.02.25 政策研究

大震災における議会の使命~震災時~

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公益財団法人地方自治総合研究所主任研究員 今井照

発災直後(初動期)

 「震災前」、「震災時」、「震災後」に分けて大震災における議会の使命を整理している。今回は「震災時」について考える。震災時についてはさらにその中を分け、「発災直後(初動期)」、「避難期間(初動期経過後)」、「復旧・復興期」の順でまとめていくことにする。
 地震や津波などで大きな災害が発生したり、そのおそれがある場合には、市町村に災害対策本部が設置される(災害対策基本法23条の2)。東日本大震災の場合には14時46分に地震が発生し、記録によれば被災地自治体の多くがその15分後の15時前後に災害対策本部を設置している。本部長は市町村長がなると法で決められている。
 具体的には、あらかじめ防災計画などで決められている部屋に役所の幹部が集まり、第1回の災害対策本部会議が行われる。ここで災害対策本部の設置が確認されると役所の組織は、当面の間、平時の行政組織から災害対策本部の組織に移行する。防災計画に従って、例えば平時は市民課の業務をしている組織が避難者への食料調達班になるのである。
 東日本大震災の場合には、最初に強い地震があったので、まずはそれぞれが身の回りの安全を確保し、揺れが収まった段階で第1回の災害対策本部会議が開かれている。地震が激しかったところでは庁舎の外、例えば駐車場などで最初の会議が開かれている(写真1。その場に津波が襲って多大な犠牲者を出したところもある)。庁舎内で開催できる場合でも、停電になってしまい、なおかつ非常用電源が作動せず、予定していた部屋が使えない自治体もあった。また3月中旬は確定申告の受付けがあり、本来、災害対策本部が設置されるべき大会議室が使用できなかったところもある。このように、災害対策本部の設置ひとつをとっても、現実には想定外のことが多々起きる。

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今井照(地方自治総合研究所主任研究員)

この記事の著者

今井照(地方自治総合研究所主任研究員)

1953年生まれ。専門は自治体政策。福島大学行政政策学類教授。東京大学文学部社会学専修課程卒業。東京都教育委員会、東京都大田区役所勤務を経て現職。著書に『原発事故 自治体からの証言』(ちくま新書)、『原発避難者「心の軌跡」-実態調査10年の記録』(公人の友社)、『図解 よくわかる地方自治のしくみ』『自治体のアウトソーシング』(以上、学陽書房)、『「平成大合併」の政治学』(公人社)、『自治体政策研究ノート』(公人の友社)、『市民自治のこれまで・これから』(編著、公職研)などがある。

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