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2016.05.25 議会改革

第1回 地方政治の台頭――行政重視から住民が主体の政治へ――

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2 地方行政の重視と/から地方政治の重視
  ――転換する地方自治のテーマから考える――

 制度(課題)の推移とアクター(主体)の変化を確認すれば、地方政治の変容の一端が理解できる。1960年代の職員参加、シビル・ミニマム、1970年代の自治体計画、要綱行政、1980年代の行政の文化化、政策法務、オンブズパーソン条例、これらは行政にかかわる自治の進化であった。住民、議会、首長等を考慮すれば、首長サイドの自己革新、行政改革といえる。その後も、政策財務、政策評価条例、財務規律条例などと発展する。ようやく1990年代に住民投票条例、2000年代に自治基本条例や議会基本条例が制定され、住民や議会が地域経営の舞台に登場する。

図 自治の制度とアクター(主体)の推移図 自治の制度とアクター(主体)の推移

 住民が地方政治の主体に登場するには、やはり住民投票条例をその指標のひとつとして考えることができる。住民運動(抵抗)から多様な住民・市民参加(参画)の模索を経て、住民投票条例制定に至るのは1990年代後半である。これは地方分権改革の波と軌を一にしている。
 議会は「2000年半ばに議会基本条例が登場して議会改革が始まるまでは、正直いってみるべき成果に乏しかった」(神原 2012:11)。第1次分権改革に残された大きな改革課題のひとつが「住民自治の拡充であるが、そのまた核心をなすところの自治体議会の改革」であった(西尾 2007:7)。それが今日、「住民自治の根幹をなす地方議会」として登場するようになっている。
 住民、議会の地域経営へのかかわりが増大するにつれ、地域経営の軸となる総合計画条例や、議会に関する条文も含めた自治基本条例も制定されるようになる。こういった住民自治をめぐる新たな条例や動向については、本連載全体で確認する。

江藤俊昭(山梨学院大学大学院研究科長・法学部教授博士)

この記事の著者

江藤俊昭(山梨学院大学大学院研究科長・法学部教授博士)

山梨学院大学大学院研究科長・法学部教授博士(政治学、中央大学)。 1956年東京都生まれ。1986(昭和61)年中央大学大学院法学研究科博士後期課程満期退学。専攻は地域政治論。 三重県議会議会改革諮問会議会長、鳥取県智頭町行財政改革審議会会長、第29次・第30次地方制度調査会委員等を歴任。現在、マニフェスト大賞審査委員、議会サポーター・アドバイザー(栗山町、芽室町、滝沢市、山陽小野田市)、地方自治研究機構評議委員など。 主な著書に、『続 自治体議会学』(仮タイトル)(ぎょうせい(近刊))『自治体議会の政策サイクル』(編著、公人の友社)『Q&A 地方議会改革の最前線』(編著、学陽書房、2015年)『自治体議会学』(ぎょうせい、2012年)等多数。現在『ガバナンス』(ぎょうせい刊)連載中。

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