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2015.03.10 議員活動

子育て世代の議会参加~ありのままの働く母として~

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これからの女性施策について

 任期中に産休を取得したという事例が数少ないことから、NHKのニュースに取り上げられたことがあった。その反響の中には、批判的なもの、例えば「仕事を辞めてから子どもを産みなさい」、「仕事に対する責任感がない」などという言葉があったのも、残念ながら事実である。覚悟の上だったとはいえ、女性の仕事と出産を取り巻く状況における課題をまざまざと見せつけられる思いであった。
 しかし、その相手を特定し批判をしたり、頭を下げさせようなどとは思わない。それを行うことが、余計なあつれきを生むだけにすぎず、問題の本質を見失うのではないかと危惧するためである。我々女性たちが戦うべきは、社会全体にまん延する「子どもを産むこと=人に迷惑をかける」という価値観であり、特定の個人を相手にしているのではないのだ。価値観が変化しない限り、女性が子どもを産み、育てやすい社会はいくら制度を改革したとしても実現はしない。待機児童の問題を抱えながら、保育園や幼稚園で遊ぶ園児の声がうるさいと、保育園の建設ができない自治体がある。日本社会においては、産休の取得は「労働基準法」で、育休の取得は「育児・介護休業法」でしっかり定められている。それにもかかわらず、今まだ、マタハラがなくなってはいないのがその証拠である。
 女性議員、政治家の1人として、その問題を解決したいと思う。妊娠、出産を契機に虐げられ、涙を流しておられる女性たちの気持ちに寄り添うこと、そして、その立場を向上させるよう、社会を動かすことこそが「政治家」の仕事である。
 小さな子どもを議場に連れて議決を行っている、欧州議会の女性議員Licia Ronzulliさんの写真が、インターネット上で「かっこいい」と大変話題になった。もし、これが数年前だったらどのような反応が返ってきていたのであろうか? おそらく、今よりも批判的な意見が多くあったのではないかと思うとき、希望を感じる。今、女性の出産や子育てに対する社会の価値観が変化をしている過渡期であると思えるからだ。「未来」は「今」の積み重ねである。現在、1歳になった娘が、母となり子どもを産み育てるときには、「子どもを産む=人に利益を与える」という価値観の日本になるよう、今こそ声を上げるときである。

出典:欧州議会議員  Licia Ronzulliさん  オフィシャルサイト(http://www.liciaronzulli.com/)出典:欧州議会議員 Licia Ronzulliさん オフィシャルサイト(http://www.liciaronzulli.com/


⑴ 保育園に入園するための活動。待機児童の多い地域では、保育園についての情報集めから見学・入園申請等に、いろいろとやるべきことが多いため、「就活」になぞらえて「保活」と呼ぶ。
⑵ マタニティ・ハラスメントとは、働く女性に対して、妊娠・出産を理由として解雇・雇止めをされることや、職場で受ける精神的・肉体的な行為を指す。

鈴木ひろみ

この記事の著者

鈴木ひろみ

新宿区議会議員 1983年生まれ。現職最年少の新宿区議会議員(民主党)。2011年初当選後、任期中に妊娠、出産を経験し、自らも子育てと仕事の両立を目指しながら政治活動を行う。第9回マニフェスト大賞、政策提言賞優秀賞を受賞。人権問題、自殺対策、防災、子育て支援に特に力を注ぐ。

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