9 竹刀という剣を向ける先
全日本剣道連盟のホームページ(4)には、剣道の理念として「人間形成の道」が掲げられ、剣道指導の心構えとして、礼法を重視し、「相手の人格を尊重し」、「礼節を尊ぶ」ことが掲げられている。そして、「剣道は、竹刀による『心気力一致』を目指し、自己を創造していく道である。『竹刀という剣』は、相手に向ける剣であると同時に自分に向けられた剣でもある。この修錬を通じて竹刀と心身の一体化を図ることを指導の要点とする」とある。
顧問は、剣太にのみ竹刀という剣の先を向け続け、剣太の「交剣知愛」の輪を広げていく機会を奪ったのである。そして、奪ったのは剣太の命だけでなく、剣太を愛する一人ひとりの思い、心の触れ合い、希望、確かに続いたはずの未来を永遠に奪ったのである。
剣太高校1年臥牛祭(文化祭)にて
(1) 受命裁判官による手続について民事訴訟規則98条。
(2) 関係者のプライバシー保護等の観点から公開は控えるが、剣太の代わりに竹刀を振った風音の姿の一部映像に関しては、筆者のホームページ・鈴木秀洋研究室の動画コーナーでアップロードを考えている。剣道の打ち込み等の様子がどのように行われていたのかの一端を知ることができよう。
(3) 作成者については略する。また被告両氏名については、本文中、それぞれ顧問、副顧問と表記している。
(4) https://www.kendo.or.jp/knowledge/kendo-concept/