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2023.03.10

市民協働による橋のセルフメンテナンスモデル ─福島県平田村を例に─

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6 平田村における橋のセルフメンテナンスの効果

 特に橋面上の汚れがひどかった小舘橋の状態を比較する。2015年は土砂や雑草で排水のために設けられた塩化ビニル管が埋まり、夏の太陽が降り注ぐ中、道路脇は湿った状態となっていた。しかし2022年、橋面に若干砂があるものの、塩化ビニル管も埋まっておらず排水機能が確保され、きれいな状態が保たれていた(図5)。このことから、日頃の橋のセルフメンテナンスから橋面の状態が明らかに改善されていることが分かる。
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図5 小舘橋の2015年と2022年の比較

 単に橋のメンテナンスに寄与しているだけでなく、現役を引退した世代も地域で活躍しており、活動が地域に根付きコミュニティを深める等、活動を通じて地域の活力の向上を図ることにつながっていると考えられる(図6)。
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図6 地域の活動として根付く(点検記録簿より集合写真を抜粋)

 平田村という小さな村から始まった活動だが、地域住民だけでなく、地元の高校生や大学生、自治体職員や企業にも活動が広まり、2023年2月現在、予定地も含めて、全国25市町村に活動を展開した(図7)。
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出典:橋のセルフメンテナンスモデル公式パンフレット
図7 橋のセルフメンテナンスモデルの全国展開図

7 おわりに

 今後、少子高齢化が進み、人口減少の波が押し寄せるのは避けられない。社会福祉の負担も増える中、税収で今あるインフラ全てを維持していくことは難しいのは当然である。地域が元気なうちに、地域の未来を住民とともに考えた上で、橋の集約化撤去に関する前向きな議論を行わなければならない。その土壌づくりは「今」ではないか。この活動を通じて、メンテナンスに寄与しつつ、橋から地域の未来を考えていきたい。
 

この記事の著者

株式会社アイ・エス・エス/日本大学工学部客員研究員 浅野和香奈 / 日本大学工学部教授 岩城一郎

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