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2023.03.10

市民協働による橋のセルフメンテナンスモデル ─福島県平田村を例に─

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3 資材支給事業における住民による生活道路のコンクリート舗装

 その協働のむらづくりの一環として行われている取組みが「資材支給事業」である。平田村の生活道路の中には舗装がなされていない砂利道がある。砂利道は、足場が悪いだけでなく、大雨が降ると砂利が流されて通行止めになる等の課題がある。しかし、村の予算は限られており、そういった課題の全てに行政のみで対応することは難しい。そこで、協働の精神に基づき、平田村では住民自らが生活道路を舗装する「資材支給事業」が行われている。生活道路の舗装に必要な生コンクリート等の材料を役場が住民に提供し、住民自らが生活道路を舗装するという仕組みである。この事業に本研究室の学生が加わり、2012年に「住民と学生の協働による道づくり」がスタートした。新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、2020年、2021年は実施できなかったものの、これまでに10回の協働による道づくりを実施している(写真1)。
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写真1 2022年10月に行われた協働による道づくりの様子

4 橋のセルフメンテナンス実施までの取組み

 行政と住民で協力し、住民自らが道に関する課題を解決するという平田村の協働による道づくりスキームを、道から橋へ、つくるから守るへと発展させ、平田村の地域力を生かして住民自ら橋を守る仕組み、つまり橋のセルフメンテナンスが実施できないかと考えた。しかし、最初から橋に関心がある住民はなかなかいない。まずは住民が橋に興味関心を持ってもらえるように、二つの取組みを実施した。
 一つ目は「橋の名付け親プロジェクト」である。平田村に限らず、名前が付いていない橋は意外と多い。そのような橋は、番号で管理されている。その番号橋に、村の未来を担い、長く地域に関わっていくであろう平田村の小学生に名前を付けてもらうことで、長く地域に愛される橋にしたいと考えた。33号橋には蓬田小学校により「きずな橋」、72号橋には小平小学校により「あゆみ橋」という名前が付けられ、村内にある道の駅で橋の命名式が行われた(写真2)。
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写真2 橋の名付け親プロジェクトにおける命名式の様子

 二つ目に、名付け親となった小平小学校にて「橋の歯磨きプロジェクト」を開催した。技術者より、橋の主な劣化要因は「水」であることや、住民でも水を断つことができる「橋の歯磨き」について三つ解説がなされた。一つ目は「堆積土砂・落ち葉や雑草を取り除くこと」、二つ目は「排水桝(ます)をきれいに保つこと」、三つ目は「高欄の塗装が剝がれていたらペンキでコーティングすること」である。説明後、実際にこの三つを住民とともに実施するワークショップが行われた(写真3)。
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写真3 橋の歯磨きプロジェクトにおける高欄塗装の様子

この記事の著者

株式会社アイ・エス・エス/日本大学工学部客員研究員 浅野和香奈 / 日本大学工学部教授 岩城一郎

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