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2019.02.25 政策研究

「議員の役割を果たして」 ─大槌町旧役場庁舎問題から見る議会の役割─

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旧庁舎議論、議会自ら封じ込め

 5議員が求めた臨時会は7月9日に開催されましたが、議員からは、「解体は可決済み」、「議案には法的根拠がない」などの意見が出されました。旧庁舎解体工事の一時執行停止については入り口論に終始し、本題に入ることなく賛成少数で否決されました。
 その後、旧庁舎に関する調査特別委員会の設置を求める動議も出されましたが、議題にすること自体が否決され、町長に緊急質問することさえも許されませんでした。

Ooduchi_ph07 臨時会で採決に臨む議員=2018年7月9日

議員への訴え届かず、旧庁舎解体

 「おおづちの未来と命を考える会」は8月17日、住民訴訟に踏み切りました。9月27日には旧庁舎からアスベストが見つかり、町は工事期間を延長。アスベスト除去費2,500万円の補正予算を組みました。議員からは、「ミスが続きすぎる」との苦言が出されましたが、解体工事そのものを止めようとする議員は、もはや誰一人いませんでした。
 その後も、旧庁舎解体をめぐる状況は刻一刻と変わりました。10月末に町がアスベスト除去工事を随意契約で結んでいたことが発覚。報道機関は、「アスベストを含んだ建物は全国にたくさんあるが、軽々に随意契約はしない」と疑問視しました。また、12月には、震災で町職員だった家族を亡くした遺族が、家族の死亡状況調査や旧庁舎解体の一時停止を求めて立ち上がりました。その直後には、アスベスト除去会社社長が町職員遺族に対し、「今さらなんだ」、「選挙目当てか」などといった脅迫電話をかけていたことも発覚しました。
 髙橋代表は、「勇気を持って立ち上がった遺族に誰が寄り添うのか、議員はもう一度考えて」と奮起を促し続けましたが、誰一人反応しないまま、2019年1月17日、住民訴訟の原告敗訴の判決が出され、町は19日、旧庁舎の建物本体の解体を始めました。
 髙橋代表は30日、住民訴訟の控訴断念を表明。議会に対し、「住民の声を行政に反映させる努力」を改めて求めました。

Ooduchi_ph08 解体が始まった旧庁舎=2019年1月19日

菊池由貴子(大槌新聞社)

この記事の著者

菊池由貴子(大槌新聞社)

1974年岩手県大槌町生まれ。岩手大学農学部獣医学科在学中に大病を患い、やむなく中退。東日本大震災の経験から、全国紙でも県紙でもない「市町村新聞」の必要性を痛感。2012年6月30日大槌新聞を創刊し、2016年4月一般社団法人大槌新聞社を設立。取材から執筆、編集、事務経理や広告受付までを一人でこなす。大槌新聞は町外にも発送可。電子データでの購読もできる。詳細は大槌新聞社HP(http://www.otsuchishimbun.com)。

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