“議会改革の集大成”としての議会基本条例
先にも述べたとおり平成26年度は私が座長を務める政策検討会議で、議会基本条例を策定中である。議会基本条例は、これまでの議会改革の集大成であるとともに、これからも不断の努力を重ねていくことの市民との約束でもある。条例であるから、例規としての形式は踏襲しなければならないが、少しでも一般の市民の方々にも分かりやすいものでなければならない。そして、これを機に、市民にとって分かりにくい議会に関する例規構成を、シンプルにすることが必要だと思っている。
具体的には、議会として大事なことは基本条例を見れば全て分かるようにすべく、地方自治法によって条例で定めることが義務付けられている、議員定数や報酬、定例会の回数、議決事件、市長に委任する専決処分についての条例を、基本条例に統合することとした。もちろん、全てを基本条例に書き込むのは適当でないが、少なくともどの例規を見れば知りたい情報が得られるかまでは、基本条例で分かるようにしようと考えている。
その前提としては、議会運営ルールを定めた「先例」や「申合せ」をも市民に分かりやすくするために、昨年度行った会議規則の条例化があるわけであるが、基本条例の制定によって、例規構成全般の再構築が完了する予定である(会議規則条例化の詳細については、後掲の記事を参照されたい)。
市民の幸福の最大値である山頂を目指して
議員には、それぞれが所属する政党や出身母体、個人の経歴や居住地域などの違いに由来する様々な主義主張がある。また、地方議員になった動機も様々であるが、少なくとも議員として目指すべきは、市民の幸福を追求することであることに異論はないはずである。それは登山に例えれば、目指すべき頂上であり、各議員や会派の主義主張の違いは山頂を目指すルートの違いにすぎないというのが、私の持論である。そして、議会内でその共通理解が得られるかが、会派を超えた議員間討議が成立するかどうかの分岐点だと思う。
それは議会と首長との関係においてもまたしかり、単に対立をあおるだけの関係が市民の幸福につながるとは思えず、また、地方自治制度において二元代表制がとられた趣旨ではないであろう。
今はまだ詳細不明だが、議会提案で制定した「子どものいじめの防止に関する条例」を、市長からの提案で改正しようとの動きがある。執行部職員には、議会提案で制定された条例を執行部から改正に動くことに心理的抵抗感もあったようであるが、遠慮はいらない。要はその改正内容が、本当に大津の子どもたちのためになるのか、ただそれだけであり、市民の幸福の最大値である山頂を目指すのみである。この原稿が世に出る頃には決着していると思うが、今はこれからの議論の行方が楽しみである。
大津市議会基本条例の特色
① 法で制定義務がある条例事項は基本条例で規定し個別条例は原則廃止、及び委任専決処分事項を議会例規で規定
② 議会からの条例提案・議案修正に対する市長等の意見陳述の機会を設けることを明記
③ 議会BCPによる災害時の議会の行動基準を明記
④ 議会からの政策立案を担う政策検討会議と、専門的知見の活用手法として、大学との連携推進を明記
⑤ 議会事務局の「議会局」への改編を規定
●議会のプロファイル
議会名 | 大津市議会(滋賀県) 議長 園田 寛 |
---|---|
定 数 | 38人(平均年齢:57歳、男女比31:7) |
会 期 |
通年議会導入につき、定例会は年1回 (通常会議は2月、6月、9月、12月) |
人 口 |
2000年国勢調査 309,793人 2005年国勢調査 323,719人 2010年国勢調査 337,634人(増減率4.3%) |
産業構造 |
2010年国勢調査 1次産業 1,812人 2次産業 34,680人 3次産業 107,204人 |
標準財政規模 |
2014年度当初予算 111,866百万円(議会関係予算677,017,000円) |
連絡先 |
〒520-8575 滋賀県大津市御陵町3-1 電話:077-528-2640 HP:http://www.city.otsu.lg.jp/gikai/ |