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2015.03.10 議員活動

外から学び、内から変える~無所属議員の12年間のトライ~

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「形から入る」のも悪くない

 この年の選挙直後、前期議長の申送りを受ける形で、「議会基本条例制定を進める特別委員会」を立ち上げた。条例制定が前提なのはおかしいという意見もあったが、そう掲げなければ、「研究調査」した結果、「改革推進」を謳って終了、ということになりかねないと思った。
 結果、石橋光明委員長の下で2年半、会議だけでも計40回、延べ110時間以上にわたり、そのほかに市民アンケートや条例案作成、市民説明会やパブリックコメント集計等々、徹底的に議員間で議論と作業を重ね、2013年12月議会最終日に(当初から反対し続けた2名を除く)賛成多数で可決した。
 条例案策定に当たっては、各会派から提案のあった37項目をベースに、多摩市議会、所沢市議会、会津若松市議会等々、先進議会の条例とも首っ引きになって協議を重ねた。島状にしたテーブルを囲みホワイトボードを持ち込んでの議論は初めてだったが、形式を変えることで展開にも変化が生まれた。
 「TTP」をご存じだろうか。「(良いものは)徹底的にパクる」の略だそうだが、まねだけで終わってしまってはいけないが、まねから入って、後から実質を備えていくというアプローチは大いにありだと思う。
議会基本条例ワーキンググループ議会基本条例ワーキンググループ

条例で「不断の改革」を謳った責任

 2014年4月の議会基本条例施行に基づき、定例議会後に市内全世帯に議会だよりが配布されたタイミングで、平日の夜と休日の昼間という2回をセットに、議会報告会を5月、8月、11月と継続してきた。2015年に入って、2月は6日㈮と7日㈯に開催し、両日で約70名が参加してくださった。
 大きな会場で全議員出席の下、前半は直近の議会報告と質疑応答を、後半1時間は特にテーマを設けずに質問や意見を受ける。とにかく市民の前へみんなで出て継続しながら考えていこう、いただいた声を基に2年目以降の改善につなげよう、と進めてきた。毎回振り返りの会議を行い、結果は市議会ホームページで公開している。
 市民からは、議会として新たな場を設けたことを評価いただいたが、説明員となった私たちは、追及する立場からされる側に回ったときの自分たちのもろさを痛感させられた。伝えているつもりでも伝わっていなければ意味がない、ということも思い知らされた。説明責任を果たすことは容易ではない。

筆者が司会を務めた第1回議会報告会(2014年5月)筆者が司会を務めた第1回議会報告会(2014年5月)

 この4年間は、議論しては走り、走っては議論し、の繰り返しであった。ほとんどの議員が党派・会派の垣根を越えて、東村山市議会という機関を改善・改良するという目標を議会事務局職員とも共有して歩んできた。
 そのひとつの到達点として、直近の日経グローカル「議会改革度ランキング」で前回419位から36位へ、早稲田大学マニフェスト研究所「議会改革度調査2013」では473位から52位とジャンプアップの評価をいただいた。このことは、議員にとっても議会事務局にとっても大きな励みとなり、新たな意欲喚起へとつながっている。
 現在のところ、報告会開催以外にも、傍聴者の住所・氏名記載の廃止や傍聴席での録音録画の自由化、請願・陳情者の意見陳述の公式化、ライブ配信の全委員会への拡大等々、情報公開、住民参加という面では目に見える形で改善を図ってきた。その後も2014年12月には議会報編集委員会を広報広聴委員会に衣替えし、政策提案の装置として政策研究会の規定も合意をみた。一方で、議決事項の追加や政策提案といった機能強化面では未着手の課題が多い。
 いずれにしても、「開いた」、「続けた」、「見せた」、「伝えた」、「聴いた」といったアウトプットの段階である。本当に大事なのは、それによって「市民生活がどう変わったのか」、「何が良くなったのか」というアウトカム。次の4年はそこを問い続け、改良を重ねなければならない。

佐藤真和

この記事の著者

佐藤真和

東村山市議会議員 1963年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野外教育、保育等、子どもの現場に勤務後、2003年から現職、3期目。NPO法人多摩住民自治研究所理事、市民と議員の条例づくり交流会議運営委員、自治体学会会員、「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワーク会員、ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟会員。

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