市区町村での課題
石田〔議〕 都のレベルでは弁護士が保護者対応を行うことになったということですね。今後は、都のレベルにとどまらず、市区町村のレベルでの対応が必要になりますね。
滝口〔弁〕 市区町村レベルで弁護士の保護者対応を導入する場合、どのような課題があると思われますか。
石田〔議〕 やはり予算の壁があると思います。弁護士への報酬はどうなるのでしょうか。
磯貝〔弁〕 例えば、年間いくらという定額制もあると思います。とはいっても、その事案にどれくらいの対応時間がかかるのかは分かりませんので、1時間当たりいくらというタイムチャージ制がやりやすいのではないでしょうか。引き受ける弁護士の側から見ても、実働に応じた報酬になるので安心感があるでしょう。
加藤〔議〕 月額いくらという方が予算はつけやすいように思います。予算の組み方は難しいところだと思います。
石田〔議〕 エクストラチャージというのもあり得るのでしょうか。
磯貝〔弁〕 担当弁護士の負担が大きい案件ではお願いすることもあるでしょう。弁護士としても、業務量に見合った適正な報酬が出ないとなると、担い手がいなくなると思います。
渡邉〔弁〕 対応する弁護士にとっても負担がかかる業務内容だと思います。弁護士の負担を軽減する方法はありますか。
磯貝〔弁〕 複数の弁護士が担当する方法が考えられます。弁護士は必ずしもクレーム対応の専門家というわけではありません。複数の弁護士が対応することで、精神的な負担を軽減することはもちろん、切れ目のない対応が可能となるでしょう。
公立学校に特有の問題なのか
本目〔議〕 先ほどの東京都の場合は、都立学校が対象とのことでした。実際には、保育園や幼稚園でも保護者対応は問題になります。学童でもトラブルがあれば、同じことが起きると思います。
渡邉〔弁〕 スポーツ団体でも同じ問題は起こり得るでしょう。例えば、指導者からのハラスメントがあった場合など指導者側に落ち度があって、保護者が過剰に乗り込んでくるようなケースです。
本目〔議〕 義務教育の公立学校と私立学校とで異なるのでしょうか。義務教育の公立学校には退学はありません。私立であれば「よそに行ってください」と突き放すことができるのかもしれませんが。
磯貝〔弁〕 私立学校でも、保護者対応に苦慮しているケースはよく聞きます。私立学校一般で保護者対応が不要ということにはならないでしょう。
石田〔議〕 学校に限らず、社会全体でコミュニケーションをどうとっていくのか、改めてコンセンサスをつくっていくべきではないでしょうか。
おわりに
滝口〔弁〕 今回は、学校現場での課題を解決するためのアプローチとして、弁護士が学校の保護者対応に関わることについてディスカッションしました。子どもの最善の利益を守りつつ教員にとって働きやすい環境をつくっていくための工夫が大切であること、また、社会の様々な場面で学校現場と同様の課題が存在することが分かりました。社会全体でコミュニケーションのあり方を検討するべき時期が来ているように思われます。議員と弁護士との相互理解がさらに深まることを祈念し、今回の勉強会を終わりにしたいと思います。
(1) 公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律(本稿では原法を「給特法」という)。
