弁護士が保護者対応に関わることの是非
滝口〔弁〕 弁護士が保護者対応に関わってくることで、かえって、渦中の子どもが困ったことになったりしませんか。
石田〔議〕 誰が被害者で、誰が加害者なのか。スタートは、子どもが怒っているケース、あるいは保護者が怒っているケースなど、いろいろあると思いますが、子どもの居場所がなくなってしまうのは一番まずいですね。
磯貝〔弁〕 はい。教員と保護者の間で板挟みになってしまい、子どもの居場所がなくなってしまうのが、子どもにとって一番の不利益です。慎重な判断が必要なのはもちろんですが、解決の筋道をつけることは、子どもの最善の利益にもかなうでしょう。
本目〔議〕 担任の先生には、子ども一人ひとりと向き合う時間を十分にとってほしいところです。特定の保護者の過剰要求への対応に多くの時間をとられてしまうと、他の子どもにも悪い影響が出てくるのではないでしょうか。
滝口〔弁〕 弁護士が学校側として関わるということは、介入した弁護士としては、学校側の意向を尊重していくということなのでしょうか。
磯貝〔弁〕 そうではありません。もし学校側に非があるということであれば、そのときは学校側に改善を求めることになるでしょう。
渡邉〔弁〕 学校の先生にはプロ意識があるように思います。保護者対応ができて一人前という意識です。
石田〔議〕 弁護士がつくことで、その教員の評価が下がることがあってはならないと思います。「そんなこともできないのか」と責めるのではなく、「よく相談してくれた」と褒めるような雰囲気が大切だと思います。
モラルハザードは起きるのか
磯貝〔弁〕 注意すべき点としては、学校側のモラルハザードは防がなければなりません。
本目〔議〕 モラルハザードとはどういうことでしょうか。
滝口〔弁〕 弁護士が介入する主たる目的が、学校側の自己防衛というのは避けなければなりません。最優先すべきは、子どもの人権保障、子どもの最善の利益です。例えば、保護者対応が煩わしいという理由で弁護士に保護者対応を丸投げするようなことがあってはなりません。
石田〔議〕 私としては、役所には予算の制限があるので、役所がモラルハザードを許すとは思えません。モラルハザードは起こらないのではないでしょうか。
「子どもの最善の利益」とは
磯貝〔弁〕 先ほどの「子どもの最善の利益」という言葉の由来をご存じでしょうか。
本目〔議〕 子どもの権利条約ですね。我が国も批准しています。
滝口〔弁〕 さすがです。よくご存じですね。
渡邉〔弁〕 条約を批准することで、国内でも法規範性があることになりますね。
磯貝〔弁〕 はい。ですから、子どもの最善の利益のことを意識しておく必要があります。
