弁護士に何ができるのか
渡邉〔弁〕 弁護士はどのような形で保護者対応に関わるのでしょうか。
滝口〔弁〕 様々な態様が考えられますが、①相談・助言、②同席・調整、③代理対応という三つのレベルに大まかには整理できると思います。
石田〔議〕 ③についてお聞きしたいのですが、弁護士はどこまで対応することが想定されているのでしょうか。最終的には裁判ですか。
磯貝〔弁〕 事案によるのはもちろんのことですが、例えば、極端に不当な態様で学校側との接触を図ってくるようなケースでは、接触禁止の仮処分といった裁判手続をとることもあり得るでしょう。とはいえ、これは本当に極端なケースだと思います。実際には、学校側と保護者の双方の話を聞いて、事実関係を整理する中で解決を目指していくのではないでしょうか。
石田〔議〕 いじめ重大事態などを見ていると、学校側というのは、何が原因で何が起きたのかといった事実認定が苦手なのかなという印象があります。
本目〔議〕 万が一、ずさんな調査がなされたときには、保護者は当然不信感を抱くでしょうね。事実関係をきちんと整理するだけでも、弁護士が関わってくる意味はあると思いました。
滝口〔弁〕 そもそも論となりますが、弁護士は学校でのトラブルに解決方法を示すことができるのでしょうか。実際には、子どもが学校を卒業するまで保護者対応が終わらないこともあるのではないでしょうか。
石田〔議〕 学校における法的トラブルは、蓋を開けてみれば、人間関係のこじれが大半でしょう。人間なので、必ずしも合理的ではないですよね。
磯貝〔弁〕 手続としての適正が担保されることが重要だと思います。一つひとつきちんとした手順を踏むことで、相談だけで解決することもあるでしょう。
本目〔議〕 そもそも、学校の先生の負担軽減が目的の一つでしたよね。
磯貝〔弁〕 はい。弁護士が後ろに控えていることで、精神的なサポートとなり、先生が安心して取り組むことができますし、孤立を解消できるでしょう。学校に限らずトラブルの渦中にいると、弁護士への相談のタイミングが遅くなる傾向があります。初期対応の加速につながると思います。
東京都の取組
磯貝〔弁〕 東京都では、令和7年4月1日に東京都カスタマー・ハラスメント防止条例が施行されており、学校現場もその対象に含まれています。教員を守ることが法的に義務化されました。
本目〔議〕 義務を負うのは、教育委員会でしょうか、それとも首長でしょうか。
磯貝〔弁〕 首長です。
滝口〔弁〕 カスハラ防止条例は、学校現場にどのように関わってきますか。
磯貝〔弁〕 令和8年2月に「学校と家庭・地域とのより良好な関係づくりに係るガイドライン」が策定されました。
滝口〔弁〕 弁護士がどのように関わるのでしょうか。
磯貝〔弁〕 先ほどのガイドラインでは、弁護士が、保護者等との面談へ同席し法的根拠に基づいた伴走型支援を実施するとともに、学校の代理人としても対応することが明記されました。
