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2018.08.10 議会改革

第4回 議会起点の三者間討議(対話)の活性化策(上)

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北海道自治体学会議会技術研究会

 これまで北海道自治体学会議会技術研究会(以下「当研究会」という)の研究概要版として、「議会改革の第2ステージと議会技術研究会」(議員NAVI 2017年12月11日号)、さらに具体策となる「議会の政策活動における多様な場と方法」(議員NAVI 2018年2月26日号)、「議会の政策活動と政策情報の作成・公開──事業別政策調書の活用」(議員NAVI 2018年4月25日号)、「一般質問等追跡システムのあり方」(議員NAVI 2018年6月25日号)についてお伝えしてきました。最後に「議会起点の三者間討議(対話)の活性化策」について、解説します(このパートも前回同様に西科純氏(当研究会共同代表・北海道芽室町)が担当)。

1 合議制機関・議会の利点〜多元性と争点提起を生かそう

 1977年に西尾勝氏(東京大学名誉教授)は、二元代表制の基本原理を示しました。それによると「第1に、長と議会は双方とも直接市民を代表する機関として、その正当性の根拠において対等の地位にある。第2に、議会は決して自治体の最高機関ではなく、立法権を完全独占していない(長の拒否権あり)反面で、行政権の一部をも所掌する(契約案件の議決等)議事機関である。要するに、自治体の『団体意思』決定は長と議会に分掌され、あるいは長と議会の相互作用によってなされる」(東京都都民生活局編『都民参加の都政システム』(1977年)73~89頁〔西尾勝執筆〕)というものです。
 さらに同書の中で、西尾氏は「両機関の『統合機能』には、その構成構造に由来する差異があり、長は独任制機関であるため機関意思の形成が比較的容易であり、一貫した政治主導を積極的に展開しやすい反面、自らの行為において選択肢の多様性と争点の所在を開示することは困難である。これに対して、議会は合議制機関であり、政党会派に分化しているため機関意思の形成が簡単でなく、その行為に一貫性を保つことがむずかしい反面、多元的な利益分化を反映するとともに、審議過程において争点を提起する面ですぐれている」と議会が持つ機能面から見た長所・短所について示しています。
 この二元代表制の理論が示す議会が持つ機能と長所部分を認識しつつ、自らの議会・議員としての現状と比較すると、多くの「気づき」があると思います。議会は単に長と機関対立するのではなく、互いの機能と利点を生かすことが自治をより良いものにするという理想と、その理想に近づくための技術修得と手法構築のための制度確立への立志が湧き上がってくるのではないでしょうか。

この記事の著者

北海道自治体学会議会技術研究会

「北海道内の市町村議会、議員、事務局職員の力になりたい」と、栗山町議会基本条例の起草に関わった渡邉三省氏(札幌市職員)と西科純氏(芽室町職員)が平成28年11月5日に設立。渡邉氏と仁科氏が共同代表に、事務局長は阿部忠彦氏(千歳市職員)、顧問は地方自治研究の第一人者である神原勝氏(北海道大学名誉教授)と辻道雅宣氏(北海道地方自治研究所主任研究員)が務め運営を担っている。会員も徐々に増え96人を数える(平成29年11月末日現在)。

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