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2018.08.27 議会改革

第5回:最終回 議会起点の三者間討議(対話)の活性化策(下)

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北海道自治体学会議会技術研究会

第4回 議会起点の三者間討議(対話)の活性化策(上)はこちら

4 長との討議方式の改革

(1)行政報告から討議に持ち込もう
 一般質問は、議会が長と政策を討議する場として最も重要な場ですが、それ以外では前述の全員協議会における「首長による事前説明及び意見の聴取の場」などで長との討議を図ることができます。ただし、これは長の議会に対する考え方や姿勢に左右されるため、各自治体で取組みに差が生じてくるでしょう。
 このほか、議会運営を見直して、本会議での長による行政報告をもとに、一般質問を展開していくケースも考えられます。つまり、一般質問の通告期限を改正するものです。一般的に「報告に対しては質疑を認めない」という議会が多いことから、行政報告に対しても一般質問の通告ができるように工夫するのです。さらに、長の答弁内容によっては各常任委員会が追跡調査を展開していくのもいいでしょう。

図6 行政報告から長との討議に持ち込む一方策図6 行政報告から長との討議に持ち込む一方策

(2)全員協議会で徹底的に討議しよう
 前述したとおり、全員協議会は3つの場面において開催するものですが、そのうち「首長による事前説明及び意見の聴取の場」では、徹底した討議の展開が可能です。首長が出席する場合は、質疑を通じて首長の考えを引き出し、議員が意見を述べることもできることから、有効な討議の場となります。
 首長等を退席させて議員間討議に移行することも可能です。討議結果によって議会としての意見が一致すれば政策提言への途(みち)をたどることができ、さらに常任委員会へ議題を移して追跡調査することもできるのです。

5 市民との討議方式の改革

(1)議会報告会・意見交換会にダイアローグ(対話)方式を取り入れよう
 議会改革の第1ステージは、議会への市民参加を促す取組み、つまり「議会と市民との交流」に力点が置かれ、結果、機会が増えるなど、大きく前進しました。しかし、一方ではその成果の実感が市民側には乏しく、参加者及び発言者の固定化、企画運営の前例踏襲から脱皮できずに市民との交流の機会をとりやめる議会もあるようです。
 議会報告会・意見交換会の成功を妨げる要因は、議員の意識とスキル不足などの問題が大きく、これを克服するには、議員研修などによりファシリテーションなどの会議進行技術の向上を図る必要があります。
 実は、先進議会では会議次第などに基づかないダイアローグ(対話)による会議手法を実践し始めています。ダイアローグ(対話)はディベートとは異なり、相手の意見を否定したり議論の勝敗をつけるものではなく、互いの意見を聞き合い、相手の立場を尊重し、それぞれの考え方を理解した上で意見を相対化し、新たな解決策を導く手法です。
 ダイアローグ(対話)方式の代表格とされるワークショップやワールドカフェは、互いの意見の多様性と新しい知見が得られるとして、成果を上げています。参加した全員が発言し、多様な意見を聴取し、課題の認識を共有できることは長所ですが、意思決定までの段階にはたどり着かず、また焦点が絞りにくいという短所もあります。しかし、それを差し引いても実践する価値はあります。
 ワークショップやワールドカフェなどでは対話しやすい環境づくりが大事であり、例えばBGMを流したり、テーブルクロスを用意したり、お菓子やお茶などを用意して臨む議会もあります。

図7 ダイアローグ(対話)方式の導入の場面図7 ダイアローグ(対話)方式の導入の場面

タブレット、スクリーン、テーブルクロス、マジック等を使用した議会フォーラム(芽室町議会)タブレット、スクリーン、テーブルクロス、マジック等を使用した議会フォーラム(芽室町議会)

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この記事の著者

北海道自治体学会議会技術研究会

「北海道内の市町村議会、議員、事務局職員の力になりたい」と、栗山町議会基本条例の起草に関わった渡邉三省氏(札幌市職員)と西科純氏(芽室町職員)が平成28年11月5日に設立。渡邉氏と仁科氏が共同代表に、事務局長は阿部忠彦氏(千歳市職員)、顧問は地方自治研究の第一人者である神原勝氏(北海道大学名誉教授)と辻道雅宣氏(北海道地方自治研究所主任研究員)が務め運営を担っている。会員も徐々に増え96人を数える(平成29年11月末日現在)。

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