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2017.03.10 議会改革

第4回 議選監査委員と決算等審査委員会委員との二重所属は許されるのか?

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人口30万人を超える自治体議会議員 木田弥

 いよいよ地方公共団体ごとに議選監査委員の設置を選択できるようになる議選監査選択制導入を改正内容に含む地方自治法改正案が今通常国会に提案されそうである(現時点では、まだ提案されていないが)。
 今回は、これまでの議選監査選択制に係る議論と、現在の議選監査制度が抱えている課題について現場からお伝えしたいと思う。

地方制度調査会での議選監査についての議論

 地方制度調査会(以下「地制調」という)は、地方制度のあり方について全般的に検討を加えるため、地方制度調査会設置法に基づき設置される組織だ。地方自治制度の改正について最も影響力のある審議会のひとつといえよう。この地制調の答申は、地方自治法の改正案に大きく影響を及ぼす。地制調では、おおむね3年程度の調査審議で答申案が作成され、内閣総理大臣に提出される。議選監査のあり方について積極的な議論が行われたのは、平成19〜21年にかけて開催された第29次地制調である。第29次地制調における諮問事項は、「市町村合併を含めた基礎自治体のあり方、監査機能の充実・強化等の(中略)地方行財政制度のあり方について」とあり、監査機能の充実・強化が掲げられていた。一方、答申では、副題が「今後の基礎自治体及び監査・議会制度のあり方に関する答申」と改められ、諮問事項にはなかった「議会制度」が加えられた。これにより、監査と議会の双方に関係する議選監査のあり方は議論の大きな争点のひとつとなった。
 論戦の舞台は主に、28回にわたって開催された専門小委員会である。このうち15回が、主に議会制度と監査制度の議論に費やされた。答申内容は、議選監査制度の廃止までは踏み込めずに、廃止論と存続論の両論併記となった。
 その後の第30次地制調では、大阪都構想に引きずられ、大都市制度の見直しが中心テーマとなり、監査制度については答申に盛り込まれなかった。引き続いて設置された第31次地制調では、第29次地制調を引き継ぐ形で、監査制度改革を再び取り上げた。「人口減少社会に的確に対応する地方行政体制及びガバナンスのあり方に関する答申」(平成28年3月)では、「議選監査委員のあり方」として、「各地方公共団体の判断により、監査委員は専門性のある識見監査委員に委ね、議選監査委員を置かないことを選択肢として設けるべきである」と明記された。このことをきっかけに議選監査選択制は、正式に地方自治法改正の論点となった。

この記事の著者

木田弥(人口30万人を超える自治体議会議員)

人口30万人を超える自治体議会の議員として活動中。

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