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2015.03.10 選挙

提言 こんな選挙が若者を引きつける

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多くの人が拡散をしたいと思える情報を発信することが鍵。

 インターネットが既存の他の選挙運動のツールと違う点は、大きく4つあります。1つ目は時間を選ばないこと。一度情報を載せておけば、過去のものもいつでも閲覧することが可能です。2つ目は即座に伝わること。情報をインターネット上に載せさえすれば選挙区内はもちろん、世界中にすぐに情報を伝えることができます。3つ目は双方向でのコミュニケーション。これはインターネットの中でもSNSの普及により可能になりました。様々なツールを通じて一方的な発信受信ではなく、相互のやりとりを可能にしました。4つ目は情報が勝手に広がっていくこと。これもSNSの普及により実現しました。自分が発信した情報が勝手に世の中に広まっていく可能性を含んでいます。
 1つ目の点は、インターネット選挙運動解禁前からも使用することができました。つまりは選挙期間前に政治活動の範囲ということで、選挙公約に類するものを掲げている候補者は多くおり、インターネット選挙運動解禁により特に変わるものではありません。とはいえ、前述したように、いかにまちに根差した政策を書き落とすかは重要なポイントです。
 次に、残り3つの特性についてこれらを有効に活用し、若者に届ける方法を考えてみました。2つ目の情報の即時性。これに関しては、インターネット選挙運動解禁以後の多くの選挙において比較的多くの候補者が意識していたように思います。TwitterやFacebook上に、街頭演説の様子や次の街頭演説の場所の告知などを流すという行動報告的な使い方です。今まで知ることができなかった候補者の活動を、有権者は知ることができます。
 次に、双方向性。街頭演説や街宣車からのアナウンスといった、一方的になりがちであったこれまでの選挙をがらりと変え、有権者を巻き込んだ双方向性のやりとりが実現します。候補者として、何かのテーマについて有権者に質問を投げかけてもよいでしょう。例えば、「私の主要政策は〇〇ですが、この点に関して皆さんの意見はいかがでしょう?」といった感じです。また、有権者が政治・社会に対してどのように思っているのかを聞き出す投稿方法もあります。「子育て世代の皆さんがお困りの点をお知らせください」といった感じです。もっと漠然と「市政への疑問点に関して何でも質問を受け付けます」といったシンプルなものでもいいです。双方向性のコミュニケーションを候補者側から仕掛けることで、有権者は自らの声を候補者が聞こうとしていることに、今までの選挙では感じることができなかった政治的有効感覚を持ちます。意見がある有権者であれば、意見を述べるでしょうし、意見を発信するほどではないとしても疑問点ぐらいはあるものです。
 最後に、拡散性。Twitterのリツイート、Facebookのシェアといった機能によりインターネット上の情報は発信者の手を離れてどんどん広がっていきます。裏を返せば、いかに多くの人が拡散をしたいと思える情報を発信するかが鍵です。とはいえ、いくら拡散したとはいえ誰にでも到達するものではなく、情報はその中身によって到達する層が変わってきます。いかにサッカーの特ダネだとしても、野球ファンには重要な情報ではなく拡散させようという情報にはなりません。政治や選挙に関心が薄い若者に自分の発信を届けるには、自身の政策や理念を語るだけでは届きません。一見すると政治・選挙と関係のないような街の小ネタなどの方が意外に広がったりするものです。例えば、市内にある公園の花見スポットといった情報です。そして、その続き、又は次の発信で1人当たりの緑地面積の話題や、子育て世代が子どもを連れていくことができる公共の場所がどれぐらいあるかといったことに広げていけばいいのです。情報の拡散の最初は、候補者の直接のフォローワーです。彼らは政策の話や日々の活動の話などでも拡散してくれるでしょう。しかし、フォローワーのフォローワーがさらに拡散するかの基準は、フォローワーの基準とは異なります。政治の話だけでなく、街の情報を含めることにより、フォローワーのフォローワーもが拡散をしたがる情報になり広がっていきます。

政治家の皆さんに、統一地方選で考えてほしいこと。

 若者の政治離れを食い止める鍵は、身近なまちの政治に関心を持ってもらうことです。そのためには地方選挙は重要です。まちについての政策をとことん落とし込み、まちに暮らす若者が、政治ではなく日々の生活に関わるものだと捉えるような政策をどのようにつくっていくか。そして、その政策をインターネットという若者への影響が高いツールでいかに広げていくか。この2つを統一地方選のタイミングでぜひ考えてみてください。
 若者は社会のこと、まちのことを考えています。気にしています。その若者を政治側からの仕掛けで選挙にぜひ巻き込んでください。


⑴ 内閣府調査:平成25年度 我が国と諸外国の若者の意識に関する調査
⑵ マクロミル調査:2015年新成人に関する調査
⑶ 2013年7月21日朝日新聞記事
⑷ 2013年7月22日産経新聞記事

原田謙介

この記事の著者

原田謙介

特定非営利活動法人YouthCreate代表 NPO法人YouthCreate代表。東京大学法学部在学中の2008年に「20代の投票率向上」を目指した学生団体「ivote」を結成。各党国会議員と学生との交流会「居酒屋ivote」や「ivoteメールプロジェクト」、全国18か所で開催した「20代の夏政り」等を行う。2011年6月ivote引退、2012年11月YouthCreateを設立。2014年2月の東京都知事選挙、同年12月の衆院選では、Twitterを使った候補者・政党と有権者の双方向コミュニケーション企画を実施。内閣府子ども・若者育成支援推進点検・評価会議委員(2011年7月~2014年7月)。観光庁休暇改革国民会議委員(2010年10月~2011年3月)。2014年度内閣府青年社会活動コアリーダー育成プログラムドイツ派遣団日本代表。1986年岡山県生まれ。

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