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2015.03.10 選挙

提言 こんな選挙が若者を引きつける

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どこか遠くて難しい政治である国政ではなく、まちづくりや生活の中で政策を語ることで見えるもの。

 全地方選挙の最大の共通点は、「地域のことを考える選挙」ということです。自分が住んで暮らしている街のことを考える機会ともいえます。どこか遠い、そして難しい、安全保障やTPPといったことが政策の争点となる国政との大きな違いです。若者を選挙に巻き込むための1つ目の秘けつが、「地域」というキーワードの中にあると考えています。
 2012年の衆議院選挙から3年連続で国政選挙が行われ、残念ながら、どれも投票率が低い結果となっています。若年層の投票率も同じく低い状況にあります(2014年衆議院選挙の世代別投票率はまだ公開されていませんが、おそらく低いと思われます)。これらの選挙の投票率の低下の原因はいろいろといわれています。民主党政権を経て政治全体への不信感が高まったことや、自民党の大勝が予想されており選挙に行くモチベーションが出なかったことなど、要因は様々あると思います。また、国政選挙だけでなく、多くの首長選挙・地方議会選挙でも低投票率が多く見られます。
 この低投票率の状況を打破する鍵は、各地域の選挙・政治だと考えます。どこか遠くて難しい政治である国政ではなく、まちづくりや生活の中にあるのが特徴です。「政治について考える」というと拒否反応を示す若者であっても、「住んでいる街のことを考える」、あるいはさらに具体例に絞って、「〇〇駅前の再開発について考える」という切り口であれば、気軽にそして身近な話として受け入れるというケースを、若者と政治をつなげるためのNPO活動などの中で数多く経験してきました。
 選挙を通じて、同様の経験を若者が積むためには、候補者がしっかりと地域に関した政策、又は地域の現状と目指す未来を有権者に伝える必要があります。政策を見ることで、街の情景が浮かんできたり、自分の生活の状況と重なり、有権者の関心は高まります。
 また、政策を書く際に、自身の信条として、その選挙での政策決定範囲を超えたものについて言及することもあると思います。例えば、市議会議員選挙に立候補する際に、国政の範囲である外交安全保障について自身の思いを書くといった場合です。もちろん、自分が立候補をしている自治体が直接に関わることができる範囲の外にある政策分野であっても、重要な政策分野はいくらでもありますし、その分野への自分の意思表示をすることは大事です。しかし、その自治体が直接関わることができる政策分野とそうでないものは区別して発信する必要があります。少し言い方を変えると、政治信条と政策を有権者が混同して捉えることがないように分けて書く必要があるということです。
 いずれにせよ、有権者が身近な街のことや、自分の生活のことを想起でき、他人事ではなく「自分事」として捉えることができる政策を掲げることが必要です。

世代が若い人ほど、投票に行く際にネット上の情報を参考にしている。

 では、インターネット選挙運動の状況はどうなっているでしょう。2013年の参議院選挙よりインターネット選挙運動が解禁されました。これまでの論調を見ると、インターネット選挙運動の力が弱い、というような内容が多いと思われます。自分は、インターネット選挙解禁のための活動を行っていた身として、急にインターネット上での政策論争が盛り上がったり、ましてや投票率引上げの要因になったりするとは考えておらず、予想と近い状況だとは思っています。インターネットの解禁は大きな変化ではありますが、選挙運動のツールの選択肢の中に「インターネット」が入ってきたにすぎないともいえ、短期間で大きな変化が望めないのは当然です。
 他方で、インターネット特有の面白い調査結果も出てきています。それは、「世代が若い人ほど、投票に行く際にネット上の情報を参考にしている」というものです。2013年の参議院選挙の際に共同通信と朝日新聞が行った出口調査から、明らかになりました。
 まずは朝日新聞の調査結果をご紹介します。「年代別では20代が、『大いに』と『ある程度』を合わせて『参考にした』人が37%と最も多かった。30代は28%で、年代が高くなるにつれて減り、逆に『見ていない』『わからない』と答えた割合は年代が高くなるほど増える傾向にある」
 続いて共同通信の調査結果では、「年代別に見ると、ネットの情報を参考にした割合が最も高かったのは20代で、23.9%だった。30代は17.9%、40代は12.6%と年代を追うごとに割合は下がり、70代以上ではわずか6.1%。ネットの利用度の違いとみられる世代間の差がくっきりと表れた」
 以上の2つの調査により明白に分かるように、インターネットは若者ほど届きやすい選挙運動のツールなのです。このインターネットをいかに駆使するかが、若年層への働きかけのひとつの鍵となると思われます。今後インターネットを含めてIT技術はますます生活の中での重要度が増してくると考えられており、政治・選挙においても同様だと思われます。

原田謙介

この記事の著者

原田謙介

特定非営利活動法人YouthCreate代表 NPO法人YouthCreate代表。東京大学法学部在学中の2008年に「20代の投票率向上」を目指した学生団体「ivote」を結成。各党国会議員と学生との交流会「居酒屋ivote」や「ivoteメールプロジェクト」、全国18か所で開催した「20代の夏政り」等を行う。2011年6月ivote引退、2012年11月YouthCreateを設立。2014年2月の東京都知事選挙、同年12月の衆院選では、Twitterを使った候補者・政党と有権者の双方向コミュニケーション企画を実施。内閣府子ども・若者育成支援推進点検・評価会議委員(2011年7月~2014年7月)。観光庁休暇改革国民会議委員(2010年10月~2011年3月)。2014年度内閣府青年社会活動コアリーダー育成プログラムドイツ派遣団日本代表。1986年岡山県生まれ。

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