議会で優先順位の議論を
熊谷 本来、そうした議論を期待されているのが議会ですよね。議会こそ多様な立場の中で優先順位を議論する場、オープンガバメントの元祖だと思っています。
議員は行政から得る情報を有効に利用し、「俺はこれを選択した」、「私はこの選択肢の中で、これを一番の優先順位と考えてこういう行動をとった」ということを日常的にマニフェストとして表明していけばいい。有権者も、4年間でそれぞれの心の中のマニフェストをつくり、それに一番近い候補者を見つけ出して投票するというのが理想です。選挙期間中はその確認行為をする期間だと思うんです。
私は、ツイッターでこれを行っています。見ている人たちは、それに対して自分なりの評価をしますから、これを何百と積み重ねていくことで、市民が全体的な視点で優先順位を考えていただけるようになるんじゃないかと期待しています。
大西 議員は執行権者じゃないからマニフェストをつくれないという人もいますが、例えば市長が掲げるマニフェストの「この部分は優先すべき」というように、首長のマニフェストを選挙に使ってもらってもいいわけです。それだけで、その後の改選後の議会で、執行部あるいは首長と議員とが、政策の中身で議論ができていくということだと思います。そうすることで、住民の代表機関である議会というのが、非常に重要な意味を持ってくると思います。
祈必勝!統一地方選で戦うみなさんへ
――3市長は議会ご出身です。本日は、議会と執行部両方をご存じで、これからどうやって合意形成を図っていくかや、議会はどうマニフェストを活用するかといった示唆に富んだお話ありがとうございました。
最後に、この春統一地方選挙を迎え、選挙に出られる方にメッセージをお願いします。
熊谷 マニフェストを通じて、優先順位の議論ができるというのが一番いいと思います。首長はどうしても全体に目配りしなくてはなりませんが、議員はあくまでも属性を重視して、地域の代表として議会で意思決定に臨んでいます。議員こそ優先順位の議論をすべき存在だと思います。ご自身のマニフェストの中では、自分はここを重視していくんだ、ということを明確に打ち出していただければ、私たちも緊張感をもって議会に臨むことができます。
一番大事なのは、そうした優先順位を政策に掲げる議員が評価されないといけないということです。政策に優先順位をつける、優先度が高い、優先度が低いということを明らかにするメリットが評価をされる社会、そうしたムードをつくり上げていけるかということが大事だと思います。
そのためには、議員がそれぞれの地域でそういう社会をつくっていくための、共同の仲間として、統一戦線をやっていかなければいけないと思います。そうした機運が盛り上がる、その最初の統一地方選挙になれば、大変すばらしいことではないかなと思っております。