2026.02.25 政策研究
第31回 自治体議会における「リーダー」と「フォロワー」
「パレートの法則」と「自治体の役割」と「議会」
ここでは、例を挙げて「パレートの法則」(パレートの法則は「成果の大半は、全体のごく一部の要因によって生じる」という経験則)について考えてみましょう。ビジネスにおいては、商品売上げの8割が商品の2割から生み出されているため、売上げを伸ばすには全商品を対象としたサービスを行うよりも、2割の商品に的を絞った方が効率的であるという考え方が成り立ちます。これが「パレートの法則」です。
他方、シビル・ミニマムを供給する自治体のサービスにおいては、効率的であるという理由だけで判断することはできません。このことは、ナショナル・ミニマムを供給する国のサービスにおいても当てはまります。シビル・ミニマムやナショナル・ミニマムの判断に当たっては効率性も大切ですが、その前に包摂性(多様な立場や価値観、属性を持つ人々を排除することなく、全体に取り込むという考え方であり、例えば国籍、性別、障がいの有無、性的指向、デジタル(インターネット、コンピュータ)能力の有無などで排除しないこと)という価値が求められます。
このように、自治体のサービスにおいては、「パレートの法則」を取り入れていい場合といけない場合があることを忘れてはいけません。
VUCAの時代の対応力
リーダーやフォロワーには、「不確実性の時代の対応力(=「VUCAの時代の対応力)」が必要です。「VUCAの時代」とは、変動性(Volatility)、不確実性(Uncertainty)、複雑性(Complexity)、曖昧性(Ambiguity)の四つの要素が特徴の、予測困難で変化の激しい時代(不確実性の時代)を指します。「VUCA時代に必要な対応力(スキル)」には、「柔軟力(性)」「情報収集分析能力」「創造力」などが挙げられます。「柔軟力(性)」とは変化に迅速に対応できる能力、「情報収集分析能力」とは不確実な状況において必要な情報を的確に収集し分析する能力、「創造力」とは既存の知識や経験を組み合わせて新しい価値やアイデアを生み出す能力です。
「6割の法則」(=情報共有の難しさ)と「情報の非対称性」
伊藤俊幸によれば、海上自衛隊には「人は思っていることを口にした段階でその6割しか言葉にできず、それを聞いた人はさらに6割しか理解できない」という、「6割の法則」というものがあります。つまり、人が意図した内容は他者に4割弱しか伝わらないということです(伊藤 2023:70)。このことは、情報共有の難しさを表しています。議会は組織であることから、議員間の意思伝達に留意することが必要です。もちろん、このことを議会・議員は、市民や行政、さらには国等とのコミュニケーションを図る場合においても留意することが求められます。そうすることで、「情報の非対称性」を小さくすることができます。
なお、議会が意思決定するときには、(情報のインプット)→(「自ら考える」「皆で考える」)→(情報のアウトプット)→(「自ら考える」「皆で考える」)→(情報のインプット)〔以下、繰り返し〕という、サイクルが重要になります。そうすることで、「情報の非対称性」が小さくなり、正しい(正確な)意思決定ができ、情報共有が進みます。
