慶應義塾大学大学院法務研究科客員教授 川﨑政司
1 議員定数の意義
議会は、合議制の機関であり、直接住民によって選挙された複数の議員によって組織され、議員は、議会の基本的な構成員となる。
議員定数は、議会の構成員数・規模を定めるものであり、議会の機能やあり方に大きな影響を与えるほか、選挙制度や選挙のあり方にもかかわってくるものである。
議会の適正規模をどう考えるのかは、様々な考慮を必要とし、一概に論じられるものではない。そもそも適正規模といったものがあるかどうかも定かではない。
例えば、日本では、しばしば、国会・自治体議会を問わず、議員の数が多すぎるといった議論や批判が生じる。しかし、日本の国会について見れば、議員1人当たりの人口を比較すると、OECD加盟38か国の中で、61万3,532人のアメリカ、20万1,557人のメキシコに次いで3番目に多い17万7,838人であり、人口10万人当たりの議員定数はアメリカ0.16人、メキシコ0.50人に次いで少ない0.56人である。人口が少なく一院制であるアイスランドの議員1人当たりの人口5,723人(人口10万人当たりの議員定数17.47人)、ルクセンブルクの1万325人(同9.69人)などはともかくとしても、二院制であるイギリスが4万6,354人(同2.16人)、イタリアが6万2,807人(同1.59人)、フランスが7万331人(同1.42人)、カナダが8万4,852人(同1.18人)、ドイツが10万6,709人(同0.94人)などとなっている(1)。アメリカは、他国と比べて、人口3億2,823万9,523人に対し下院が435人、上院が100人と連邦議員の数がかなり少なく、日本では何かと引き合いに出されるアメリカとの比較が、日本での議論に影響を与えている可能性が高い。
(1) 以上の数値については、国立国会図書館調査及び立法考査局調査報告書「OECD加盟国議会における議員定数と人口」(2021年)による。なお、議員定数、人口に関するデータの時点が異なるものもある。
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