慶應義塾大学大学院法務研究科客員教授 川﨑政司
1 自治体議会からの問題提起・政策発信
(1)議会の意見書
自治体議会は、立法機関として、条例を制定して、政策を決定できることはいうまでもないが、それだけではなく、当該自治体の政策はもちろんのこと、当該自治体に関係する問題や国の政策・他の自治体の事務などについて、機関として意見を表明することもできる。
そのための方法として地方自治法により規定されているのが、意見書の提出である。
これは、住民の代表機関である議会が、一定の事項についてその意思や見解を表明する権限である意見表明権の一つとされているもので、議会が、その自治体の公益に関する事件について、意見書を国会又は関係行政庁に提出できるとするものである(地方自治法99条)。
その場合、自治体の公益に関する事件である限り、意見書の内容については、その自治体の事務であるか、国の事務あるいは他の自治体の事務であるかを問わないものとされている。何が「公益」に関することであるかは、社会通念などにより個別具体的に判断するほかなく、当該自治体の不特定かつ多数の人々の利益に関係するすべての事項が含まれうるといえるが、あくまでも当該自治体に関係するものとされていることに留意する必要があるだろう。
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