弁護士 滝口大志
「地方自治勉強会」について
この勉強会では、議員と弁護士とが、裁判例や条例などを題材にして、それぞれの視点からざっくばらんに意見交換をしています。本稿では、勉強会での議論の様子をご覧いただければと思います。発言者については、議員には〔議〕、弁護士には〔弁〕をそれぞれ付しています。
なお、勉強会は自由な意見交換の場であり、何らかの会派、党派としての見解を述べるものではありません。
〔今回の勉強会の参加者(五十音順)〕
阿田川敦史(弁護士・第一東京弁護士会・シグマ麹町法律事務所)
石田慎吾(元品川区議会議員)
伊藤洋実(弁護士・第一東京弁護士会・九帆堂法律事務所)
江口元気(立川市議会議員)
尾畠弘典(弁護士・福岡県弁護士会・尾畠・山室法律事務所)
加藤拓磨(中野区議会議員)
上村遥奈(弁護士・第一東京弁護士会・弁護士法人瓜生・糸賀法律事務所)
滝口大志(弁護士・第一東京弁護士会・丸の内仲通り法律事務所)
本目さよ(台東区議会議員)
渡邉健太郎(弁護士・第一東京弁護士会・堀法律事務所)
はじめに
滝口大志〔弁〕 今回は議員の皆さんが議会でいかに活躍するのか、「議員提出条例」をテーマに取り上げたいと思います。今回の講師は尾畠弘典弁護士です。自己紹介をお願いします。
尾畠弘典〔弁〕 はじめまして。私は、任期付公務員として福岡県古賀市役所に勤務していました。法務担当として年間延べ100~300件に上る各部署からの相談に対応したほか、訴訟・不服申立て、政策立案、条例策定などにも関与した経験があります。ちなみに、趣味はジャズピアノの演奏です。
一同 よろしくお願いいたします。
議員提出条例は低調?
滝口〔弁〕 さて、議員の皆さんは条例案を提出したご経験はありますか。
本目さよ〔議〕 私は「台東区男女平等推進基本条例」の議案提出に携わったことがあります。
石田慎吾〔議〕 議員からの提出はあまり聞かないですね。首長提出条例を承認するかどうかというのが普通です。
滝口〔弁〕 私のような政治の素人からすると、どんどん議員から条例案を提出すれば議会も活発化するのでよいと思うのですが。
上村遥奈〔弁〕 議員提出条例は議員としての実績にカウントされるのでしょうか。議員提出条例を目指すインセンティブがあるのでしょうか。
石田〔議〕 もちろんゼロではありません。とはいえ、条例が制定されるときには議会の賛成多数で可決されるわけですから、個人の実績とは直ちに結びつかないでしょう。