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2017.02.27 議会改革

不祥事続発の政務活動費問題、各議会はどう動いている? 〜政務活動費不要論を乗り越えていくために~

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早稲田大学マニフェスト研究所事務局次長 青木佑一

 2016年7月に発覚した富山市議会の政務活動費の不正受給問題により、それ以降本稿の執筆時点で計12人が辞職した。県庁所在地の議会で定数40人の約3割が辞職するという前代未聞の事件は全国的に報道され、「号泣議員」と同じく地方議会に対するイメージを著しく落とした。
 本来、政務活動費とは、議員報酬とは別に「議会の議員の調査研究その他の活動に資する経費の一部」として使うために支給されているものだ。地方自治体の意思決定機関である議会の議決権を有効に行使するため、政策立案・監視能力を高めるために交付されているが、一部議会での不正受給が話題になるたびに、政務活動費の不要論、ひいては地方議会の不要論の声が高まっている。
 早稲田大学マニフェスト研究所は、本来の目的のために使用されるなら「適切な額の政務活動費は必要」と一貫して主張している。そのためには、説明責任を果たす「領収書のネット公開」、そして「議会事務局職員や第三者によるチェック体制の強化」が必要である。  昨年実施の調査で6回目となる、全国の議会活動調査「早稲田大学マニフェスト研究所 議会改革度ランキング2015」の結果をもとに、政務活動費の透明性を確保する公開状況の現状と、「政務活動費不要論」を乗り越えていくために参考にすべき先進事例を紹介したい。

議会改革度調査2015の概要

 当所が毎年実施している「議会改革度調査」とは、2010年から開始した地方議会の活動状況を調査するものである。2016年3月下旬にメールや郵送で調査依頼を全地方議会に送付し、全自治体の81.7%に当たる1,460の議会から回答があった。
 本調査の目的としては、①全国の議会改革がどのような状況・傾向にあるか、確認する指標として活用すること、②議会自身が改革度を数値で把握することで自己評価や改善をし、善い政治を競う「善政競争」を促すことを目指している。
 本調査では、議会が果たすべき役割として、①情報共有(本会議などの議事録や動画、政務活動費・視察結果の公開等)、②住民参加(傍聴のしやすさ、議会報告会などの実施、住民意見の聴取等)、③議会機能強化(議会本来の権限・能力を発揮するための機能強化状況等)といった3つの柱を挙げており、それぞれの改革度合いを数値化し、ランキングを出している。
 今回は、政務活動費の公開状況にフォーカスした分析結果を紹介したい。

青木佑一(早稲田大学マニフェスト研究所事務局次長)

この記事の著者

青木佑一(早稲田大学マニフェスト研究所事務局次長)

早稲田大学マニフェスト研究所事務局次長 1985年東京都生まれ。早稲田大学社会科学部卒、同大大学院公共経営研究科修了。選挙サイト、世論調査会社勤務を経て、株式会社パイプドビッツ「政治山」で行政・議会・議員を対象に記者職、選挙情勢調査・分析に従事。現在、早稲田大学マニフェスト研究所で議会改革、選挙事務改革、人材マネジメント部会、政策のオープンデータ化「マニフェストスイッチプロジェクト」を担当。 Facebook:yuichi0613

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