衆議院法制局第五部第二課参事 皆川治之
Ⅰ はじめに
第190回国会において、特定非営利活動促進法の一部を改正する法律(平成28年法律70号。以下「改正法」という)が成立しました。
本稿は、改正法の背景と経緯、その内容、改正法を受け所轄庁(1)において想定される業務上の対応等について、解説を加えるものです。文中に引用した条文番号は、特段の言及のない限り、改正法の条文番号を指します(2)。
なお、文中意見にわたる部分は筆者の個人的見解であることをお断りしておきます。
Ⅱ 改正法の背景と経緯
特定非営利活動促進法(以下「NPO法」という)は、平成7年の阪神・淡路大震災後に、ボランティア活動等を支援する新たな法人制度として制定され、平成10年に施行されました。
その後数度の改正を経て、平成23年改正では、所轄庁の変更、認定事務の移行等の制度改革が行われたところです。
今般の改正は、この平成23年改正法附則19条の検討規定に基づき、特定非営利活動法人(以下「NPO法人」という)関係団体の要望を踏まえて、超党派の「NPO議員連盟」(共同代表:中谷元衆議院議員・江田五月参議院議員、事務局長:岸本周平衆議院議員)において検討が行われ、取りまとめられたものです。
改正法は、平成28年5月18日に西村康稔衆議院内閣委員長により提案され、衆参両院での審議を経て、同年6月1日に可決され、成立しました。なお、改正法は、6月7日に公布されています。
Ⅲ 改正法の内容
1 NPO法人制度に関する事項
(1)認証申請の添付書類の縦覧期間の短縮等(10条2項及び3項)
① 趣旨
NPO法人の迅速な設立を可能とするため、所轄庁が行う認証申請の添付書類の縦覧期間を現行の「2月間」から「1月間」に短縮するとともに、現行の公告(所轄庁の公報への掲載が通例)に加えて「インターネットの利用による公表」を措置し、所轄庁がそのいずれかを選択できるようにしたものです。あわせて、申請書類の軽微な不備の補正期間を「1月間」から「2週間」に短縮しています。