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2016.08.25 議会改革

市民と議会の信頼関係の構築を目指して

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藤沢市議会事務局議事課主幹 田口英太郎

藤沢市議会について

 藤沢市は、神奈川県の中央南部の湘南海岸に面した気候温暖な人口約42万人の都市であり、相模湾に浮かぶ江の島は1964年の東京オリンピックに続き、東京2020オリンピック競技大会でもセーリング競技が開催されることが決定している。このためマリンスポーツが大変盛んで、海水浴客も含め年間1,800万人を超える観光客が訪れる観光都市となっている。
 古くは、中世に開かれた時宗総本山遊行寺の門前町として栄え、江戸時代には、旧東海道五十三次の6番目の宿場が置かれにぎわいを見せていた。現在では、JR東海道線や小田急江ノ島線をはじめ6路線が乗り入れ、東京から50キロメートル圏とアクセスも良好であり、高度経済成長期には人口の増加、自動車産業をはじめとする商工業の進出が顕著であった。
 一方、現在でも市内北部には緑や自然も多く残され、野菜や花卉(かき)の栽培などの都市型農業や畜産業等も盛んであり、某雑誌では主婦の住みたい町ランキング全国1位に輝くなど、住みやすく子育てのしやすいまちでもある。さらには、市内に4つの大学がある学園都市としての側面も持ち、また、市民オペラをはじめとする文化芸術も盛んであり、バランスのとれた発展を続けている。
 市議会の議員定数は36人(うち女性議員は5人)で、現在7つの会派が結成されている。市職員は約3,500人で、議会事務局へは筆者も含め14人が出向している。

議会改革と議会報告会のこれまでの取組

 本市議会では、2013年2月に全23条からなる議会基本条例を制定し、市民に親しみやすく開かれた議会の実現に向けて、請願及び陳情の際の意見陳述の実施や政策立案の強化、正副議長の選挙及び政務活動費の公開などの議会改革に積極的に取り組んでいる。中でも条例第9条では、市民に対し議会活動に関する情報を積極的に公表し、議会に対する市民の意思の把握及び意見を交換する場として議会報告会の開催と広報広聴機能の充実がうたわれている。それまで、原則として年4回の定例会最終日に開催されてきた議会報編集委員会を新たに広報広聴委員会として設置し、議会ホームページやインターネット中継配信、議会報告会の開催も所管することとなり、活発な議論が交わされ、2013年度は年間9回、2014年度には16回にも及び開催されている。
 また、議会報告会については、基本条例が施行された2013年4月に市内9会場で開催し、合計101人の参加があった。同年5月に誕生した広報広聴委員会では熱意あふれる1期目の正副委員長が就任された。議会報告会の開催に当たって、事務局は事前準備とサポートに徹し、当日は全議員参加の下、受付、進行、記録及び会場設営から片付けに至るまで、全ての役割を議員で分担するとのポリシーに基づき、精力的に同年10月・11月にも2回目の報告会を4会場で開催した。参加者は合計で55人と減少し、高齢化、固定化が進むとともに、意見交換の際には、一部の参加者が議員や市に対する不満をぶつける場となってしまった。
 それでも、終了後に、参加者の意見に市側からの回答を加えてホームページなどで公開するとともに、委員会で検証を行い、正副委員長が先進市に視察に伺ったり、専門家に話を聞いたりして、2014年の開催につなげた。
 2014年は、9月の市民まつりに市議会のブースを設け、議会報告会の開催チラシ入りのティッシュを作成し、議員自ら配布するなど、事前の周知活動にも力を注いだ。11月の報告会においても、テーマを絞って委員長自らパワーポイントで資料を作成し、より分かりやすい説明を心がけ、また、市内大学の教授に進行役と大学生の参加をお願いするなどの改善を行い、市内2会場で開催した。合計72人と参加者は増加したものの、建設的な意見交換にならない部分もあり、現行の開催方法では限界があるとの声も多く、一部会派からは「条例を改正してでも報告会は中止すべき」との意見も出される事態となった。

この記事の著者

田口英太郎(藤沢市議会事務局議事課主幹)

藤沢市議会事務局議事課主幹。1989年藤沢市役所入庁。教育、税務、福祉、市長室秘書課課長補佐を経て、2014年に議会事務局へ出向。議事課で広報広聴委員会等を担当し、議会報の編集、議会報告会のサポートに携わる。

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