宮崎県川南町議会事務局局長補佐 河野英樹
町村議会としては珍しい議員提案政策条例として制定された「川南町地域全体でとりくむ生き活き健康づくり条例」について、条例制定に至るまでの背景、経緯、条例の特徴、今後の展望等について紹介します。
きっかけは意見箱への回答作業から
平成27年2月に、本町議会独自の取組として「川南町議会に対する意見箱」を町内10か所に設置しました。そして、そこに寄せられた意見への対応(寄せられた意見への回答案作成など)が、同年6月から本格的にスタートしました。
意見の中に、「統一地方選挙が先日終了した。この4年間真剣に頑張ってほしい。それには心身が健康でなければならない。ぜひ、当選した全議員には健康診断を受けてもらい、それを公表し町民を安心させてほしい」という、実現等が極めて難しい内容のものが寄せられました。
この意見への回答を議員の方々と作成・検討する中で、「議員だけの健康にとどまらず、町全体の大きな課題である健康診断の受診率の低さ(平成26年度実績で、全国平均を下回る29%以下の低い受診率)への対策にもつながるような条例を打ち出してみてはどうか」という意見が出されました。
さらには、この意見を出した児玉助壽議員が、独自の条例案を作成(同年7月)し、新条例案の提出に向け、毎月の議員全員勉強会で検討を重ねました。しかしながら、条例として提出するには関係法令等との整合性の検証など、クリアしなければならない課題等が山積しており、作業は相当難航しました。
このような状況の中、月刊「地方議会人」平成27年11月号で牧瀬稔先生(一般財団法人地域開発研究所上席主任研究員)の連載記事と出合ったのです。そこに紹介されていたひとつの条例が、和歌山市議会で制定された「和歌山市みんなでとりくむ生き活き健康づくり条例」でした。それはまさに、本町議会(事務局含む)が求めていた理想の条例だったのです。
同年12月の議員全員勉強会において、事務局から前述の牧瀬先生の連載記事と和歌山市議会の条例を紹介するとともに、本町版の条例案として作成したものを議員の方々に説明と提案を行いました。
議員と事務局が数か月もの間、ともに悩み考えた条例策定の結果、議長を除く議員全員(全12名)が発議の提出者となることを表明しました。
そして、本年3月の定例会において議員提案による本町初の政策条例が全員賛成で可決し、制定されました。