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2016.02.10 選挙

18歳選挙権の実現で選挙はどう変わるのか

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ネット選挙とスマートフォン対策

 さて、こうした流れの中、選挙に関わる人間として「若い世代の票を獲得するにはどうすればよいか」を考える必要があります。とりわけ、インターネット選挙運動(以下「ネット選挙」といいます)のあり方については、若い世代の政治参加促進を見据え、より高度化していく可能性があります。
 2013年4月に公職選挙法が改正され、ウェブサイト及び電子メールを使った選挙運動が解禁となりました。解禁から約3年、私も選挙プランナーとして、選挙運動におけるネットの有効な使い方を模索している最中ですが、ここ数年のインターネット利用動態の大きな変化として、ひとつはスマートフォン(以下「スマホ」といいます)ユーザーの急増が挙げられると思います。総務省の発表している平成26年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査(2)によれば、スマホの利用率は全体ですでに6割を超えました。
 世代別の利用率を見ると、トップが20代の94.1%。次いで30代82.2%、40代72.9%と続き、10代は68.6%となります。

図2 モバイル機器(スマートフォン、フィーチャーフォン)、タブレットの利用状況図2 モバイル機器(スマートフォン、フィーチャーフォン)、タブレットの利用状況

 また、視聴行動分析サービスを提供するニールセン株式会社の発表したデータ(3)によると、2014年度、スマホからのネット利用者数は前年度から19%増加し、2015年4月で4,800万人に達しています。前年の2013年から2014年の増加率が41%なので、増加率単体で見ると鈍化傾向にありますが、その中で高年齢層の伸長率が高くなっていることは見逃せません。その伸び率は、50代以上の世代では女性57%(112万人増)、男性32%(155万人増)にも及びます。これはスマホが若年層の間で急激に普及した後、高年齢層間の普及も進み始めたことの表れであり、全世代がスマホを利用する時代になってきたことがうかがえます。
 インターネットの利用状況についても、スマホからの流入が増加していることは明らかです。ニールセンの調査によれば、パソコンからのインターネット利用は1日当たり54分、スマホからは1日当たり1時間48分という結果が出ています。

 今やジャンルを問わず、若い世代を意識したネット戦略を試みるのであれば、スマホ対応は欠かせない時代となりました。ウェブサイトへのアクセスも、パソコンからのアクセス数よりもスマホからのアクセス数が上回るようになっています。空き時間にはなんとなくスマホでネットサーフィンしているとか、「ちょっとこれについて調べたいな」と思ったときは、まずスマホを取り出す、という方はこの記事を読んでいる人の中にも多いはずです。
 選挙の世界はもともと“アナログ”寄りであり、直接対話のコミュニケーションを重んじます。どれだけ多くの有権者に直接会って自分の熱意を伝えるか、どれだけ多くの人の手を握れるかが勝敗を左右する一番の鍵だと昔からいわれてきました。しかし、時代は刻々と変化し続けています。18・19歳という新たな有権者層の誕生を日本の選挙史における大きな転機ととらえるとともに、若い世代が先陣となってつくり上げてきた文化や価値観を、我々も今一度前向きに受容し直す必要があるのではないでしょうか。

松田馨

この記事の著者

松田馨

選挙プランナー・政治活動コンサルタント/株式会社ダイアログ代表取締役 1980年広島県生まれ。京都精華大学人文学部卒業。デザイン会社、私立大学職員を経て独立。2006年の滋賀県知事選挙以来、地方選挙から国政選挙まで幅広く実績を積み、2008年に「株式会社ダイアログ」を設立。国政選挙の当落予想をはじめ、新聞、テレビ、雑誌等のメディアにおいて、「日本最年少プランナー」「無党派票を読むプロ」として多数取り上げられる。立候補予定者向け選挙必勝セミナーやネット選挙セミナーの開催、政党政治スクールでの講師など、講演実績も多数。20代の投票率向上を目指し活動する学生団体への協力や、ネット選挙運動解禁に向けたキャンペーン「One Voice Campaign」発起人など、投票率向上に向けた活動も積極的に行っている。一般社団法人日本選挙キャンペーン協会理事・事務局長。日本選挙学会会員。 Facebook https://www.facebook.com/kaworu.matsuda Twitter https://twitter.com/MATSUDA_Kaworu

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