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2016.02.10 選挙

18歳選挙権の実現で選挙はどう変わるのか

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選挙プランナー・政治活動コンサルタント/株式会社ダイアログ代表取締役 松田馨

240万人の新たな有権者が誕生

 2015(平成27)年6月17日、選挙権年齢を満18歳以上に引き下げる公職選挙法改正案が参院本会議にて全会一致で可決・成立しました。2016(平成28)年7月に行われる参議院議員通常選挙より、満18・19歳の有権者が加わることとなります。ちなみに18・19歳の有権者数は全国で約240万人と、割合としては全有権者数の約2%に相当します。
 2013年に行われた第23回参議院議員通常選挙における20〜24歳の投票率は31.18%で、全年齢平均を20%以上下回ります。仮に18・19歳の投票率が同程度であった場合、約75万票が新たに投じられると推測できます。この新しい75万票は、選挙や政治にどう影響を与えていくのでしょうか。

 昨年、「シルバー・デモクラシー」という言葉が政治の世界でよく使われるようになりました。これは、投票率が高く有権者数の多いシルバー世代の意見が政治に過剰に反映されやすく、それよりも下の世代の意見が通りにくくなることを問題視した概念で、話題となったきっかけは、2015年5月に行われた大阪都構想の賛否を問う住民投票でした。NHKの出口調査において、70代以上を除くすべての世代で賛成が上回っているにもかかわらず、70代以上においては反対が上回っており、合計票では反対が上回るという結果になったことから、ネット上で特に話題になりました。

 私自身、選挙プランナーという立場でクライアントの当選を考えた場合、投票者数が多い高齢者をターゲットに選挙戦略を立案することが多いのは事実です。そして、こうした状況が若い世代に「自分たちが選挙に行っても無駄だ」という印象を与えている面は否めません。では、18歳選挙権が解禁されても、こうした状況は続くのでしょうか。

18歳選挙は、シルバー・デモクラシーを変えるか

 ここで取り上げたいのが、昨年4月の統一地方選挙の際にNHKがまとめた調査データです。この2015年の統一地方選挙では、多くの選挙で投票率が過去最低を更新しました。NHKはこのとき、39の道府県(東京・大阪・愛知・岩手・宮城・福島を除く)の議会議員選挙の投票率について、2003年の地方選挙との比較を行いました。その結果興味深いことが分かりました。「都市部」(道府県庁所在地と政令指定都市)に比べて、「都市部以外」の投票率の下落幅の方が大きかったのです。
 都市部の投票率は、2003年は50.45%、2015年は44.16%(6ポイント余りの下落)。それに対し都市部以外の市町村の投票率を見ると、2003年は55.57%、2015年は46.34%で9ポイント余りの下落となり、その下落幅は都市部の1.5倍にもなります。全国的な投票率の低下に、都市部以外の投票率の低下が影響を及ぼしていることは間違いありません。

 都市部以外の投票率の低下の原因としては、高齢化率の高さが考えられます。加齢に伴い足が不自由になった高齢者が投票を棄権するケースや、住民票はあるが自宅を離れ介護施設に入っており、施設に出張投票所がないため投票できないケースなどが実際に報告されています。
 これまで、地方の投票率は都市部より高い状態が一般的であるとみなされていました。しかし、選挙に意欲的な世代の高齢化が進み、「選挙に行きたくても行けない」人が増えているのです。
 過去の国政選挙の年代別投票率からも、そのことは読み取れます。衆議院議員選挙年代別投票率の推移を見ると、平成以降最も投票率が高いのは60代、2位は50代で、70代以上はそれよりも低くなります。
 現在の日本の高齢者人口は3,186万人(2013年9月15日推計)、総人口に占める割合は25.0%で過去最高になりました。1947~1949(昭和22〜24)年生まれのいわゆる「団塊の世代」が、続々と「高齢者」と呼ばれる65歳以上の年齢を迎えていることもあり、高齢化率は全国的に上昇を続けています。このままいくと、現在人口が多く投票率も高い60代の層が70代になったとき、高齢者全体の投票率が一気に下がる事態が予想されます。このとき、10代の有権者の存在感が、今よりも増す可能性は高いといえるでしょう。

図1 衆議院議員総選挙年代別投票率の推移(1)図1 衆議院議員総選挙年代別投票率の推移(1)

 昨年9月、リクルート進学総研(東京)が、高校1~3年生の計1,437人を対象に選挙への意識調査を行いました。「選挙権を取得したら選挙に行くと思うか」という設問に「必ず行くと思う」と答えたのが35.4%、「たぶん行くと思う」が40.6%で、「選挙に行くと思う」と答えた高校生の割合は合計76%に達します。もちろん、この割合の人数がそのまま投票所に足を運ぶわけではないでしょう。しかし、“初選挙”に挑む10代の世代の選挙への関心が決して低くはないことからも、18・19歳という新たな投票者の誕生によって、若年層の投票者数は確実に増加すると考えられます。そうなれば、政党や政治家の意識も変わらざるを得ません。
 今年の夏の参院選の結果を大きく左右するとはいえませんが、18歳選挙権の実現が政治に与える影響は、決して小さくないだろうと私は考えています。

松田馨

この記事の著者

松田馨

選挙プランナー・政治活動コンサルタント/株式会社ダイアログ代表取締役 1980年広島県生まれ。京都精華大学人文学部卒業。デザイン会社、私立大学職員を経て独立。2006年の滋賀県知事選挙以来、地方選挙から国政選挙まで幅広く実績を積み、2008年に「株式会社ダイアログ」を設立。国政選挙の当落予想をはじめ、新聞、テレビ、雑誌等のメディアにおいて、「日本最年少プランナー」「無党派票を読むプロ」として多数取り上げられる。立候補予定者向け選挙必勝セミナーやネット選挙セミナーの開催、政党政治スクールでの講師など、講演実績も多数。20代の投票率向上を目指し活動する学生団体への協力や、ネット選挙運動解禁に向けたキャンペーン「One Voice Campaign」発起人など、投票率向上に向けた活動も積極的に行っている。一般社団法人日本選挙キャンペーン協会理事・事務局長。日本選挙学会会員。 Facebook https://www.facebook.com/kaworu.matsuda Twitter https://twitter.com/MATSUDA_Kaworu

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