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2016.01.25 政策研究

市民手づくりの「たちかわ市民財政白書」の取組

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たちかわ・財政を考える会会長 加藤良重

たちかわ・財政を考える会

(1)設立の経緯
 平成19年の夕張市の財政破綻を受けて、全国的に自治体財政への関心が高まって、市民が自分たちのまちの財政を学ぶ動きが広がりました。立川市においても、遅ればせながら平成24年度から26年度にかけて、市民交流大学・市民企画講座として財政に関する講座・講演会が実施されました。この講座の参加メンバーが中心になって、自治体財政のことをさらに学んで、我がまちの財政について考え議論しながら財政白書づくりに挑んでみようということになりました。そこで、平成26年4月1日に「たちかわ・財政を考える会」を立ち上げて、活動を始めました。会員は市議会議員も含めて23人ですが、今後も広く参加を呼びかけていくことにしています。

(2)主な活動事例
 会の発足から白書の発行までの1年10か月の間に次のような活動を行いました。
 ① 学習会
 ② 資料の収集・集計
 ③ 原稿分担執筆・図表の作成
 ④ 定例会
 ⑤ 共同編集会議
 ⑥ 完成発表会
 まずは学習会として、市の出前講座を活用し、予算・決算などの学習会を計4回実施しました。さらに計算や図表づくりのためのエクセル勉強会を、会員の指導で計4回行いました。
 さらに、市政情報コーナー、図書館、インターネットなどでの資料収集及びこれらの集計、市内を回っての写真撮影などを行いました。
 財政白書の原稿については、執筆・図表の作成を分担して行いました。本文10人、インタビュー3人、「私のひとこと」コーナーを16人に分担して原稿を執筆し、エクセルを使いこなせる会員と共同して図表を作成しました。
 また白書の制作のための定例会を定期的に開催し(計15回)、この場で企画、進捗状況の確認、意識合わせ、意見交換を行いました。白書は、A4判・79頁・カラー印刷で600冊を発行し、1冊500円で有償頒布することとしました。印刷製本費は、総額51万2,600円(1冊当たり854円)で、立川市の協働のまちづくり推進事業補助金25万円と宗教団体の市民活動公募助成15万円に応募するとともに、会員の「債券」(1口5,000円)購入費(31口)で賄いました。なお、債券購入費の返済については頒布代金を充てることにしています。
 財政白書の編集過程では、多くの会員が参加する場である共同編集会議も実施し、原稿の検討を計14回行いました。装丁・割付け、図表の作成などの編集作業も会員自らの手により行いました。
 最終的に平成27年12月1日付けで財政白書を発行しました。同年12月7日に「完成発表会」を行い、会員を含めて市民・議員・自治体職員など、予想を超える67人の参加がありました。

財政白書の完成発表会には予想を超える67人の参加があった財政白書の完成発表会には予想を超える67人の参加があった

たちかわ市民財政白書の概要

 財政白書の書名を「市民からみた立川市の財政―知っておきたい税金の使われ方―」としていますが、通称を「たちかわ市民財政白書」としました。全7章の構成で、原稿を検討し合う中で、追加・修正を繰り返しました。
 第1章の「立川市はどんなまち」では、我がまちの歴史や特徴と長期総合計画に基づく将来像などについてまとめました。第2章の「財政をよりよく理解するために」では、広く自治体環境の変化、自治体の役割・政策・計画、財政に関する基本的事項などを簡潔に説明しています。この章は、個別原稿を検討する中で追加されたものです。第3章の「歳出の状況―政策実現の経費―」では、歳出を政策実現の経費として捉え、歳出全体を目的別・性質別にみた上で、金額の多寡ではなく福祉・都市づくりなど重要課題となっている個別分野の現状を把握・分析し、課題を提起しました。第4章の「歳入の状況―財源の確保―」では、財源の種類と歳入全体の状況をみた上で、主な財源について現状を把握・分析し、課題も提起しました。第5章の「お金のやり繰り」では、借金・積立金、特別会計繰出金及び競輪事業を財源となるお金のやり繰りと捉えてその現状を把握・分析し、課題を提起しました。第6章の「財政運営の実績」では、決算について、財政力指数や経常収支比率など4つの代表的な財政指標に絞り、また資産・負債及び行政サービスのコストの状況を財務諸表からみました。終章の「市民が望む財政運営(提言)」では、我がまちの財政運営について市民からみて望ましいあり方を考え、当初「課題」としていたものを「提言」としました。

この記事の著者

たちかわ・財政を考える会

たちかわ・財政を考える会は、市民の立場から我がまちの財政について、ともに学び・考え、発信することを目的として、市民有志が主体となって組織した団体です。会の活動は、党派性や宗派性を持ち込まず、行政当局の影響も受けることなく自主性・自立性を貫くこととしています。会には、市内外の誰でも加入でき、議員や自治体職員も一市民の立場で加入できることとしています。連絡先メールアドレス:tatikawa.zaisei@sirius.ocn.ne.jp

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