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2015.10.26 政策研究

誰もがいきいきと働ける職場づくりを目指す【NPO法人虹色ダイバーシティ】

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特定非営利活動法人虹色ダイバーシティスタッフ 小林和香

 特定非営利活動法人虹色ダイバーシティでは、LGBTなどの性的マイノリティ(以下「LGBT」といいます)の職場環境に特化した活動を行っています。団体名にもなっている「虹色」とは、LGBTを支援するシンボルとして世界共通で使われています。そして、「ダイバーシティ」とは「多様性」を表します。日本でダイバーシティ推進というと、障がい者雇用や女性施策をメインに取り組んでいる企業や団体が多いですが、私たちはそこにLGBTも含めることを提案しています。
 LGBTという言葉を聞いたことはありますか? メディアで見聞きしたことがあるという方も増えてきたのではないでしょうか。LGBTとはレズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシュアル(両性愛者)、トランスジェンダー(性別越境者)の頭文字です。同性愛や性同一性障がいという言葉の方が聞いた人が多いかもしれません。実際には、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの4つにカテゴライズできるわけではなく、自分の性別をどう捉えるかといった「性自認」や誰を好きになるかという「性的指向」はグラデーションになっていて、その組合せも一人ひとり違いますので、性のあり方は十人十色だといえます。
 私たちは企業や行政、教育機関など向けにLGBT研修を行っています。昨年度は年間100件を超える依頼があり、ニーズの高まりを感じています。

クラスに1人はLGBT

 LGBTが人口に占める割合は何パーセントくらいだと思いますか? 淀川区LGBT支援事業で行ったアンケート調査では、約半数の人たちが1%くらいだと答えました。民間の調査によると、人口の5〜7%はLGBTだという調査結果が報告されています(電通総研「LGBT調査2012」、電通ダイバーシティラボ「LGBT調査2015」)。20人に1人という計算になります。あなたの職場にも地域にも、必ずLGBTはいます。しかし、多くの人はLGBTの存在を学んできておらず、日常生活の中に「おかま」「ホモ」「レズ」などの差別的言動によって傷ついている人たちがいることはほとんど認識されていません。このような社会の中で、LGBT当事者であることを自分自身が認めることや、友人や家族など身近な人に伝えることは簡単ではありません。多くの人が「身近ではない」と感じている社会とは、LGBTが「ありのまま」で暮らしていくことが難しい社会なのです。
 私たちは実態を明らかにするため、2,000人規模のLGBTと職場環境に関するアンケート調査を行っています。私たちのアンケート調査では、上記のような差別的な言葉だけではなく、「結婚しないの?」「女らしくしなよ」といった、男女のジェンダーに関わる発言もLGBT当事者が差別的だと感じるという回答が多く寄せられました。私たちが実施する研修では、LGBTという言葉だけが一人歩きするのではなく、LGBTが何に傷つき、社会の壁をどんなときに感じているのかを、データを基に示していきたいと考えています。

高い自殺念慮率と求職時の困難

 LGBTについて学ぶ機会がないだけではなく、メディアなどでは同性愛等の性的少数派であることについて否定的なメッセージを受け取る機会も多く、LGBTが肯定的なロールモデルを描くことが難しいのが今の日本の社会の現状です。何気なく発した言葉やセーフティネットがないという社会の壁が、当事者のメンタルヘルスの悪化につながっています。自殺を考えたことのある人は、ゲイバイセクシュアル男性のうち65%(日高庸晴×荻上チキ「セクシュアルマイノリティと自殺リスク」SYNODOS(2012年4月27日)[日高庸晴発言])、求職時に困難を感じたことのあるトランスジェンダーは70%に上ります。制服を着ることができず引きこもりになってしまったり、中退してしまったりする子どもたちがいます。男女に分かれたトイレを使うことができず、学校や職場でトイレを我慢している人たちもいます。LGBTが社会の課題だと認識されていないがゆえに、相談機関も十分ではありません。誰にも話せずに孤立している人たちがいます。これは個人の課題ではなく、心身における健康の問題であり、社会全体の課題だといえると思います。

この記事の著者

特定非営利活動法人虹色ダイバーシティ

性的マイノリティがいきいきと働ける職場づくりを通じて、性的マイノリティとその支援者(アライ)のエンパワーメント、性的マイノリティが暮らしやすい社会づくりを目指します。職場の問題に関する調査活動、講演活動、コンサルティング活動等を行っています。 http://www.nijiirodiversity.jp/

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